2013年6月26日水曜日

2010年国連競争試験(NCRE) 筆記試験 実施概要

2010年国連競争試験(NCRE) 筆記試験 実施概要
この記事は、受験した方の記憶に基づいたものであり、正確でない、あいまいな部分があることをあらかじめご承知おきください。
1.会場の状況等
(ニュー・ヨーク)
NYについて報告します。9時試験開始、7時30分集合と書いてありました。しかし、7時30分には極一部の人のみしか入れず、順々に入っていきますが、多くは雨の降る外でそのまま並ばされました。自分が入ったのは8時50分。だいたい中間辺りで、全部が入ったのが9時40分。そこから試験の説明が始まり、10時10分に試験が開始しました。
・時間に間に合わなくていい。
・密室で空気は悪い。
・外でずっと立たされると疲れる。
・中に入っても、みんなが入るまで、事実上テキスト等は見ること可能。
・カンニング対策も緩いといわざるを得ず、荷物をもって中にないっても、椅子において置けばよいなど。
・席は2人で1つの机に座ります。同じ机に座る2人が同じ科目にならないように、ランダムに席は指定されます。感覚は60cmくらいの
・レターを忘れても、パスポートと身分証でいけるのが広まっているらしく、パスポートを自発的に持ってこない人も。
・時計はありましたが、大きな部屋にひとつでした。席から見えないこともあるので、腕時計を持ってきましょう。
なお、マンハッタンにある会場のホテルまで、空港から60ドル・50分(Google mapだと16分でしたが^^;)です。
(東京)
●Aさん
試験会場:国連大学
集合時間:17:45 ←17時にUNUに到着したところ、1階のフロアーで待機できました。
試験開始時間:18:30 ←この時間から、試験の説明開始。実際の試験が始まったのは、18:50ごろ
試験中は、飴、チョコレートなど、大きな音を立てない食べ物は食べることができました。
修正液・修正テープも使用可。回答は、黒ペンのみです。
リラックスした雰囲気・・・とは言いませんが、食べ物や飲み物を持ち込み、一人ずつはお手洗いに行けるので、落ち着いて受験できると思います。みな解答時間を確保するため、お手洗いにも走って行っていました・・・。
●Bさん
東京の会場に呼ばれた方は全部で66人でしたが
前のホワイトボードに専門毎の座席指定がしてあり、その情報からすると
各選考のうち多かったのは 1.人権、2.経済、3.法律、4.行政 といった
順番だったと思います。 人権で20人以上、行政で10人ぐらいでした。

また、ちょっとびっくりしたのが、少なくとも東京会場では
4人に一人ぐらいの割合で空席があった事です。
何かの理由で来られない方がいるにしても、こんなに多いのは
ひょっとして試験にconvokedされている事に気づいていない人も
結構いるのかな、と思いました。

(というのも、私自身、試験前日まで受験できると知らなくて、
試験二日前になっても特に書類審査をパスしたとか不合格だったとか
連絡が来ていなかったので、ダメ元で事務局に問い合わせメールを出してみたら、
10月21日付のconvocationレター付E-mailを再送して頂けて
初めて受験できると知りました。
多分事務局から送ったメールが迷惑メールに設定されていたから
気づかなかったんだろう、と思いますが、
「迷惑メールもこまめにチェックする」事の大切さを身に染みて感じました)

あとは、夜6時半から(実際は説明などがあるので6時45分ぐらい)
4時間半の長丁場の試験という事でとにかく疲れます。
終わったのが23時25分と、最後のほうはいっぱいいっぱいでした。
今年は仕事を早めに抜けて受験したんですが、今年駄目で
もし来年受けられたとしたら、来年は仕事休んで受けよう!と
心に決めながら家路についた感じです。
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2.GENERAL ESSAY
1995年の世界女性会議の成果として、女性的地位にどのような変化があったか、
さらに今後残された課題や、ジェンダー研究の課題についての2ページ半程度の文章を自分の言葉で要約せよ、という問題でした。
 後半部分が、超難文(単語や構文によるものではなく、単純に意味が不明)で、まとめることが難しい問題でした。
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3.SPECIALIZED PAPER
● 法律
1問目(Essay A)
小問5問。ある国が経済発展をしたいと考えているときに、(1)自分でどこの商業領域を開発したいかを記載しなさい。(2)そのために、採用されるべき国際法とその理由を述べなさい。(3)その国際法を採用したときの反応とその対策を述べなさい。(4)それらの国際法の平等適用・実行を保つための国際法レベルの主義を述べなさい。(5)その国が入るべき国際組織とその理由を述べなさい。
まさかの経済問題。しかも、質問が抽象的で、かなり裁量の幅があります。もっとも点差がつきやすい問題だったと思いますし、近くの法律専攻の外国人は固まって、この問題は飛ばしていました。
2問目(Essay B)
小問2問
まさかの2連続経済問題。安全保障理事会の決議を受けて、内乱の起きたTropica国の治安維持のために設置されたUNMIT。この組織が内乱でつぶれた電力を立て直すために、Shipping Co.という外国の会社からgeneratorを輸入して、Tropicaの内陸に届ける設定です。UNMITとTropicaの契約条項(force majeure, grant period, cafgo manifest後のclearanceの取得義務、支払減免条項(1日の遅れで5%の支払いの遅れでよい。))が具体的に記載され、法律については、UNMITはUN convention on Privilege and Immunity of the UN of 1946と同じ適用がされるとされます。同Conventionの説明はないです。
まず、generatorの積荷港で、積荷の後、Shopping Co.側の船のメカニズムの故障で、出港が遅れます。2週間後、無事に出向しますが、着港も2週間遅れます。契約書では、事前にproduct のmanifestをShopping Co.はUNMITに送らないといけませんが、さらにShoppingは着港当日にmanifestを送りました。船からgeneratorを降荷する(荷主のUNMITが取得しないいけない)許可(clearance)の取得が2日間遅れます。遅れながらも、陸路にのったgeneratorsですが、途中でTropica国の人に止められてしまいます。そして「customとして50000ドル、港の施設代として25000ドルを渡せ」といわれます。なんとか、後で交渉しましょうということで、その場はしのぎます。そうして、UNMITの手元に「customとして50000ドル、港の施設代として25000ドルを渡せ」のInvoiceが届きます。他方で、いきなりShipping Coから、(1)私たちはちゃんと契約を履行した。(2)着港においてclearanceをとるのが遅れたために、船が2日間余分に拘束されたので、その費用を支払え(710000ドル)と記載されたinvoiceが届きます。
この2つのinvoiceについて、UNMITの弁護士としてアドバイスしなさい、という問題でした。
3問目(Essay C)
小問4問
領海、接続領域、排他的経済水域、国際海峡及び公海?のそれぞれにおける航海において、沿岸国、旗国、land-locked国の権利義務がそれぞれ問われました。さらに、それぞれにおいて公害が陸から、船から出てきた際の責任、海賊を退治する際の権利義務について問われました。さらに、一部の国が国際海洋法条約に加入し、一部の国が国際海洋法条約に加入していないという状況です。国際海洋法条約と慣習法の区別まで求められました。
問題の設定分は実際には短く、5つ程度の国に、形式上名前がついていたものの、実質は知識を問う問題でした。おそらく、日本人でそこまで詳しい区別を知っている人は少ないので、この問題で(私を含めて)全員壊滅したのではないかと思います。Right of Innocent passageやright of transit passageを書けば、そこそこ点がつくと事前は思っていましたが、そんな言葉は問題文に既に書いてあって、これらのrightsを実効的にするための権利義務が問われていて、もうさっぱり・・・
4問目(Essay D)
他の科目はEssay Cで終わり、あとはShort Questionsになります。Essay DとEssay Eは、最後の方にある空欄の答案の□に自らDやEと入れます。Essay Cが終わった後で、書き込む答案がないとあせらないでください(笑)
小問2問
4問目は、うってかわって、超典型的名国際公法の問題でした。
ある豊かな州(Industria)が、毎年、90%の予算をState Aに出していたのですが、もっと衡平にしようとState Aに提案しましたが交渉が決裂します。State Aは黙らせようと、その州のエリート400人を虐殺します。州は頭にきて、State Aのトップを暗殺します。State Aのトップの葬式の際に、州は独立宣言します。他の国々は、Effective controlを及ぼしていた、その州を承認し、地域組織への加入を認めます。新国の隣の国は、当該新国が400人虐殺の罪で、自己の領域でバカンスを楽しんでいた、State Aの商業大臣を逮捕します。
小問は2つでした。(1)独立宣言及び他国の反応について法的見解を述べなさい。(2)逮捕について法的見解を述べなさい。
5問目(Essay E)
小問はなく、多数当事者間契約の留保について、説明を求められる問題でした。問題設定も、簡単でした。「多数当事者間で締結されようとしている条約においてState Bが強硬に反対している条項に、国内法に反するとしてState A, C,D,Eは難色を示しています。 留保は禁止されていません。State Aの弁護士として何をアドバイスできますか?」という問題でした。
(総合感想)
これだけ書くと、いかにも私がよく国際法を知っているかのように思えますが、私自身は国際公法をまともに勉強したことない者です。確実に落ちると思いますが、実質1週間で0からそこそこの回答まで書けるようになりました。日本人の壁である英語も、国際法の場合は、英語の原文(法律文言・ICJ判決の言い回し)をそのまま記憶して、記載すればいいので、楽な部類だと思います。その原典をあたって簡潔にまとめたノートを探してもなかったので、私が1週間ながらまとめたものがあります。そちらを管理人さんに渡しますので、ご参考にしてください。極力、すべての文章・単語は英語の原典(法律文言・ICJ判決・権威のある教科書)からとっています。ただ、1週間なので、期待しないでください(管理人注:↓をクリックして入手。)。
<a href="http://xiango.cocolog-nifty.com/blog/files/2010ncre.docx">「2010ncre.docx」をダウンロード</a>
終わってみれば、勉強時間としては2週間、3週間のレベルでも国連競争試験は十分勝負になると思います(落ちるのにすごいいいようですが^^;)。国際法に限っては、日本の教育レベルは高く、合格しやすいと思います。是非、新司法試験の受験者も含めて、積極果敢に挑戦してみてください。
ただ、海洋法は本当に押さえたほうがよいと思います。
次の試験で出てきそうな箇所は、responsibility to protect (humanitarian intervention)、use of force(imminent standard, non-state actorに対するcontrol基準)、targetable non-state actor、state responsibility, diplomatic protection, ICJの手続きになると思います。
● 人権
A.個人通報を利用した被害者からのメールを読み、4つの小問題に回答。
内容は、ある宗教派に所属してる女性が、疑いをかけられ、刑務所?取調べ?をされたときに、警察から拷問をうけたというもの。※その国は、全てのコア人権条約を批准している。

 ①メールの内容の人権侵害が、どの人権に当てはまるか(3つあげよ)
 ②(忘れてしまいました)
 ③人権担当官として、人権侵害が行われている国の政府にドラフトレターを書け
 ④この問題は、どの人権条約に当てはまるか。(3つあげよ)

B.災害援助に関する問題
 
C.人権高等弁務官に与えられた6つのマンデートの中から、2つ選び、そのChallengeしてきたことと今後の展望をのべよというもの。

Short Question
1.人権理事会(HRC)が来年5年目を迎えレビューが行われるが、何が必要とされるか
 2.拷問等禁止条約の選択議定書を説明せよ
3.MDGsにおいて、人権からのアプローチはどのようなものがあるか。MDGsの8つの中から3つ選び回答せよ
4.国内人権機関(NHRI)を設置する上で、人権担当官として、あたなは設置を考えている国にどのようなアドバイスをするか。
 ※このほかに4問あり。
(感想)
NCREの勉強対策ですが、国際人権法に関する本(国際人権法学概論など)とOHCHRのHPにあるFact sheets、Human Rights Issuesというページを参考にいたしました。

● 経済
Essay Question(全3問)

・環境経済学のコース理論について
・(すみません、覚えていません)
・流動性の罠について
-流動性の罠が起きている状態について、どのような政策が採用されるか、
2つ政策を挙げ、IS-LM曲線を用いてどのような効果が得られるか説明せよ
-流動性の罠の状態で採用される政策について、是否も含めて、あなたの考えを述べよ

短答問題(全8問)

・アメリカの負債三重苦に関する問題
・途上国経済における外貨準備高の位置づけ
・非排除性と非競合性を持つサービス・財は何があるか、その片方、もしくは両方を持つサービス・財についてマトリックスを作成し、それぞれの例を埋めよ。その組み合わせのうち、”情報”は
どこに当てはまるか
・インフレ率と通貨レート変動の関係
・農業改革が進んだことで経済成長にどのような影響があったか。技術開発はその中でどのような効果をもたしたか
・先進国の政府開発援助が途上国の経済開発にもたらす影響
・その他名目インフレ率、実質インフレ率についての問題
・2国の貿易における比較優位性と、各国2品ずつ別の生産効率を持つ財(生産効率について数字が与えられています)について貿易するべきか、自国生産するべきか、に関する問題

(感想)
経済学の基本的な理論についてはかなりしっかり復習している必要があると思いました。グラフを描いて説明を求められる質問も3問程度ありました。
ストレートフォワードな問題ばかりですが、とにかく時間がないので、さくさくと解いていく必要があります。エッセイには時間がかかりますので、気をつけて!
試験対策としては、かなり時事問題や経済学ジャーナルで議論になっている分野などをフォローするようにしたりしていましたが、どちらかというと教科書の復習の方が重要だったかな?と思えるような設問でした。
●行政
行政の専門の問題は合計で11問、合わせて600点でした。
最初の3問が各120点、合計360点。 残り8問が各問30点で合計240点という配分で、
試験問題に書いてある「目安時間」(大問45分、小問10分)通りにやっていったら
うまく時間いっぱい使いきれました。

問題1 UN人事システムについて(120点)
①「全ての加盟国から」人材を確保すること と、②有能な人材を確保すること、
この二つの目的を両立させるような人事システムを、
広報、リクルート、評価、人材確保の4つの側面から議論しなさい。

問題2 調達システムについて(120点)
①Best value for Money
②効率性(その他)
③公平な競争
④Interest for UN
これら4つのバリューを踏まえて、国連の調達(Procurement)制度への
提言を考えなさい。(なお、Best value for moneyと「一番経済的なオファー」との
違いについても説明しなさい)


問題3 新しいPKOミッション立ち上げのために必要な行政的手続きについて段階的に述べよ(120点) 


問題4~11(各問30点)
・人事担当として、職場での懲罰の対象になりえる行為と、
それらに対する段階的な罰則をどちらも最低3つ記載せよ
(Wikileakの事が頭にあったので、タイムリーなネタ?だと思いました)
・職場全員に対するアナウンスがあるときの
職場内での周知プロセスについて留意すべき点を挙げよ
・職場で、Head of Departmentに対してどれだけの権限を委譲しても
よいか、およびHead of Departmentに対するチェック機能について
など、計8問。(あまり覚えていません。。。)
以  上

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