2013年6月26日水曜日

国連競争試験 2004年 書面審査 概要

国連競争試験 2004年 書面審査 概要 
      (応募は2003年夏)
 国連が発表した情報に基づき、2004年の書面審査合格者の分析を簡単にしてみますと次のとおりです。
 区分は、総務、人口、情報技術、図書館学、政務、社会、統計の7区分。
 合格者総計は、3,948人
 総務1009,人口66、情報技術625,図書館学152,政務1122,社会733,統計241です。
 国籍は発表になっていませんが、日本を試験地に選んだ人は、99人で、総務25,人口3,情報技術5,図書館学1、政務30,社会30、統計5となっています。日本を試験地に選んだ人のほとんどが日本人とみられ、また、これらは、日本人受験者の半分くらいを占めているのではないかと思います(私の見立ててでは、日本人合格者は、200名前後か?)。
 各国ごとに各区分の上限を定めているのですが、日本でその上限に達している可能性があるのは、政務、社会、もしかすると総務くらいでしょうか。ということは、政務と社会の合格ラインは、他の区分に比べて厳しい、ということになるでしょう。
 では、以下に、2004年国連競争試験の書面審査の合否等について、19名の方から情報が寄せられましたので、その分析結果を掲載します。
1.概要
 この年は、総務、人口、情報技術、図書館学、政務、社会、統計の7区分について試験が行われましたが、情報提供者の内訳は、総務2、社会4、政務9、人口2、情報技術2でした。統計、図書館学については、情報がありませんでした。
 19名の書面審査合否は、11-8(合格-不合格。以下同様)でした。
 区分ごとについてみていくと、次のとおりです。
 総務2-0(総務で応募し政務で合格した者を総務不合格と解すれば、2-1)
 人口2-0
 情報技術2-0
 政務3-6
 社会2-2(社会で応募し政務で合格した者を社会不合格と解すれば、2-3)
 総務の合格者のうち1人は、政務に応募した方で、政務の合格者のうち、一人は社会の応募者でした。要するに、(1)政務応募→総務合格、(2)社会応募→政務合格、の二つのパターンがありました。
2.各区分の状況
 競争試験の書面合格者数(筆記試験受験許可数)は、国ごとに上限が設けられているとされ、各区分50名となっている模様です。日本の会場での受験者数を勘案すると政務、社会、場合によっては、総務が、競争による選抜になった可能性があります。逆に、人口、情報技術、図書館学、統計については、受験者数が少なく、競争による選抜ではなく、国連競争試験で選抜されるに相応しいかという絶対的な基準で選抜されたことが推測されます。各区分についての合格・不合格を考察すると次のとおりです。
(1)人口(サンプル数2)
 大学院在学中で、人口学に直接関係のありそうな経験がそんなに長くなくとも、書面審査に合格しているようです。
(2)情報技術(サンプル2)
 実務経験がなくとも博士課程在学であれば、合格するようです。また、1年の大学院コース修了でも、実務経験がそれなりにあれば合格するようです。

(3)総務(サンプル数2)
 大学院プラス若干の関連業務の経験があれば合格するようです。
 ただ、推察するに、総務は実務経験を重視していると推測されます。
(4)社会(サンプル数4)
 2年の大学院コースプラス1年の関連業務経験で、不合格とされている例がありました。さらに、大学院在学中で、大学院進学に先立ち、相当の期間、関連職務経験を積んだとみられる方が不合格になっていました。
 他の2名は合格していましたが、二人とも「不合格になる理由がない」というくらいの立派な経歴でしたので、どのあたりが合格ラインかはわかりません。
 なお、社会を希望して、政務で合格となった方については、職務経験は社会に近いような印象ですが、どうも大学院での専攻を優先されたように推測されます。

(5)政務
 大変わかりにくい結果でした。
 大学卒業後、ほぼストレートに大学院に進学・卒業し、職務経験は、在学中のインターン程度という方が合格していた一方で、大学院を卒業した方で職務経験を相当程度有する方が不合格になったりしています。ただし、前者のインターンとしての経験は、まさに政務関係でしたし、後者については、政務とは直ちには結びつきにくい専攻、職務内容等であったという印象でした。
 ということは、職務経験については、関連業務以外であれば、長期間であっても、あまり考慮されていないと推測されます。

3.まとめ
(1)所感になりますが、各区分を通してみると、書面審査基準が異なっている印象を持ちました。総務は、経験重視の趣があります。逆に政務は専攻・研究経験重視と見えなくもない印象でした。
(2)インターンの経験が評価されることがある一方、有償での勤務経験であっても関連の有無により評価されないことがある、といえそうです。つまり、職務経験については、やはり内容が重視されていたと思われます。どんな職務経験でもありさえすればいい、というものではないことは確かのようです。
(3)書類提出時に修士在学中の方をみていると、総務:2-0、社会:0-1、政治:2-4という結果でしたが、在学だから駄目、ということはないでしょう。
 ただ、少し気になるのは、1年間の修士コースに在学中の場合でして、その場合、来年卒業見込みという扱いをしていない可能性があります。この辺り検証してみたいような気がします。
(4)応募区分と受験区分が異なる場合についてですが、本来の応募区分に戻すよう要請したら、認められたケースがあると聞いています。ただし、応募区分で不合格だが、別の区分を受験することを条件に合格させる、ということもありえますが、その場合、「応募区分で受験させろ!」と国連事務局にクレームをつけたら、「はい、書面不合格にさせていただきます」と言われるかもしれませんね。
(5)政務については、わかりにくい結果であると書きました。まさにそのとおりで、政務受験者にも、私が個人的によく知っている方が複数いて、合格者に比べ、政務に関する経験がより勝っているといえる方が不合格になっていたりしました。原因をいろいろ考えましたが、CVの書き方の良し悪し以外の可能性を思いつきません。応募区分に関連する経験を強調するような工夫は欲しいところです。
 なお、CVは丁寧に書いてください。かつて、国連の人事担当官から、「頼むから誤字脱字をしないように言ってくれ」とお願いされたことがあります。
 以上、サンプル数が少ないこともあり、なかなか面白い結果が出てきませんでしたがとりあえずの報告まで。

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