2013年7月28日日曜日

2012国連事務局YPP

2012年に実施された国連事務局YPP

 (共通)
 〇要約問題:軍隊への子供の徴用を如何に防ぐかということについて書かれた文章(その鍵となるのは、①厳格な法の執行と②家庭及び地域社会の連帯の深さだ、といった話でした。)
 〇選択式問題:今年から一行問題に代わって選択式になったのですが、全部で40問ありました。
       覚えているものは、
①国連PKOが派遣されている国の組み合わせを次の中から選べ
②次の中でLDCから抜け出した国の組み合わせを選べ
③G77とは何の略か
④初代国連事務総長は誰か。
⑤次のうち、最も古くに設立された国際機関はどれか。
⑥ESMの設立年月日はどれか。
⑦UNの設立年月日はどれか。
⑧次のうち、ノーベル平和賞を受賞した国連の機関はどれか。
       くらいでしょうか・・・5分の1ですが・・・

〇論述(社会):最初のエッセイは3問中2問を選ぶもので、私が選んだ2問は、
①3つの国(A、B、C)の貧困率、識字率、寿命等のデータを見て、その発展度合いの特徴や課題について論じるもの。
②social protection(社会保護?)が開発に与える意義について論じ、今後更にsocial protectionを進める上で必要となる施策を論じるもの。
       でした。
 〇一行問題:8問中6問を選ぶもので、私が選んだのは、
      ①移民が開発に与えるメリット/デメリットを論ぜよ。
      ②セックスとジェンダーの違いについて論ぜよ。
      ③女性の教育がどのように経済発展に繋がるのか、3つの点から具体的に論ぜよ。
 (以上)

2013年7月21日日曜日

2013年YPP試験概要


2013YPP試験概要

 

試験場所:国連大学(ウ・タント会議場)

集合時間:5時半の45分前集合

試験時間:5時半~1040分くらいまで(最初は説明など,解答が始まったのは,610分くらい)

 

試験問題

General

要約+今年から多肢選択式40問導入

要約の文章のテーマは,recruitment of children 子ども兵?

国際レベル,国内レベル,コミュニティレベルでの取り組みの紹介。

 

多肢選択式の問題を覚えている限りで(不正確な部分があるかもしれません)

 

・国連ができた年    →1945

・国連憲章ができた場所 →サンフランシスコ

・最初の国連事務総長  →Trygve Lie (Norway)http://en.wikipedia.org/wiki/Secretary-General_of_the_United_Nations

・国連事務総長の次のランクは? →Deputy Secretary General?

・グローバル・コンパクトとは?

G77とは?

Global Fund が取り組んでいるものは?

UN Womenのミッションは?:http://www.unwomen.org/about-us/about-un-women/

・今現在国連の平和維持部隊が展開している国は?

WB doing businessの指標の中にないものは?

・どの機関がどこの下にあるなどの,機構関連

・テロリスト関連の対策を最もハイレベルで行なっているところはどこか?

G4と指定されている国はどちらか

・国連の一番古い組織はどれか

Least Developed Country (LDC) から這い出られた国は過去に三つしかない、それはどの国々か 

 

 

【論文】

Political Affairs

・国連が取り組んでいるPrevention of armed conflict の取り組みについて

・国連は民主主義を推進するべきか?

・国連が行なっているJustice Peaceの関係と取り組みについてどう思うか(少し自身がないですね)。

 

Economics long essay questions/topics:

Use the Mundell Fleming model to assess the effects of a reduction in exports on output, money demand, and money supply.

- Consider both the cases under flexible and fixed exchange rates.

- Explain the reasoning behind the "Impossible Trinity."  Why can't countries implement all three policies at once?

 

Economics short essay questions/topics:

- State advantages and disadvantages of multilateral trade agreements (e.g. WTO) and regional trade agreements (RTAs).

- Intertemporal choice

- Answer questions based on OLS regression output

 

以上

2013年6月26日水曜日

「2009年国連競争試験(筆記試験)実施概要」

「2009年国連競争試験(筆記試験)実施概要」
(目次)
1.コメント
①会場の様子
②アドバイス(一般試験)
③アドバイス(専門試験)
2.一般試験(復元問題)
3.専門試験(復元問題)
(1)行政
(2)情報技術
(3)広報
(4)安全
(5)社会
(本文)
1.実施状況
①会場の様子
(イギリス受験)
○ ClubJPOのHPには、飲み物・食べ物の持ち込み可とあったが、イギリスの会場では、禁止されていた。持ち込めたのは、筆記具のみ。
○ 14:00スタートで2時間前に集合と言われていたので多くの受験者が12:00に外で待っていたが「まだ入れないので13:00まで昼食をとってきてください」といわれて、結局13:00過ぎに会場に入りました。
○ 私は受験票が届いていなかったのですがよくあることらしく、フルパスポートを持っていけば何も問題ありませんでした。(一応、事前に事務局に確認した方が良いと思います)。
○ 私にも受験票兼手紙が届きませんでした。また、現在、学生ビザを延長中で、パスポートが手元にないので、どうすればいいか?UKの運転免許証ならあるけど?と事務所に問い合わせたところ、その運転免許証でもokだけど、一応パスポートのコピーを持って来てと言われました。それで問題はありませんでした。
○ 今年はフランスの試験会場がなかったようで、パリからわざわざ受験しに来ていた2名と会場で会いました。
○ 会場には筆記用具(統計/経済などの人は電卓)、受付で配られる回答冊子を持って入ります。問題用紙には何を書いても良いので蛍光ペンなどをひいている人も多かったです。
 会場は200名弱で、混み合う会場だと注意があったのでおそらく最大人数くらいだと思いますが3分の1くらいは棄権していたようです。
 科目ごとに問題用紙の表紙が違い、前半が英語、後半がフランス語の問題でした。
試験中は、試験官同伴であれば会場の外に置いてある鞄をガサガサやって水も飲めるし、
お手洗いにも行けます。日本人の感覚では、割と緩いと思います。
 私がした失敗は、小問の1~5まで解いた段階で、飛ばして8→7と後ろからやったところ回答欄を間違えたことです。回答冊子はどの科目も同じもので、小問は10問回答できるようになっているので10、9のところに回答してしまいました。面接官に聞くと、問題番号に×をして分かるようにしておけばよいとのことですが、落ち着きがないなど、心象が悪くなるかどうかは不明です。
(NY受験)
○ New York, NY (New York Helmsley Hotel)会場
 旅の荷物はホテルのクロークを預けてからホテル横の路地にて列に並ぶ。数人ずつUN警備員に連れられエレベーターにて会場へ (8:20-8:30頃)。
 Convocation letter, passportの確認。名前リストに署名。携帯電話は電源を切り封筒に入れホチキスで封をされ渡される。
 水はありとの事前通知通りテーブルに水のボトルとグラスが置かれていた。
9:10 am- 試験説明/問題配布
9:22 am- General Paper
10:07 am: General Paperのセクションの解答部分には戻れないようにシールを貼るよう指示される。
10:10 am-Specialized Paper
1:55 pm: 終了
試験問題と解答冊子が回収される。
解散
 お腹が空いてしまうので飴、チョコレートは必須かと思います。セキュリティーの厳しさの違いで昨年のGeneral Assemblyでの試験よりも開始時間などスムーズな進行でした。
○ 1時間前に到着して、既に列があり、中に入るまで寒い中15分ほどまたされました。実際に部屋に入る前にコートチェックなどでき、かばんは部屋にいれることができます(試験中は机の下におくように指示されます)。携帯電話は電源を切って封筒に入れさせられます。試験中は食べてはいけないことになっており、トイレに行く際は係りの人と部屋に出られます。また、普段パソコンで仕事しているので、久々に黒ペンで全て書かなくてはならなかったことに意外と影響されました。
○東京受験
 国連大学で受験。会場には全員で40名位は集まっていたと思います。入口で受け付け後、会議ホールに入場。席順は自由で、電卓・お菓子等持ち込み可。試験開始は18時30分を少し過ぎた位だったと思います。英国大学院で行うようなエッセイ式の設問。トイレ等は他の方が書いてある通りですが、試験自体はトイレに気をつかう暇はない位ハードだと感じましたので、事前にしっかり済ませ、集中することが必須。
②次回以降受験者へのアドバイス
(一般試験)
○ 受験した感想
 本番では、内容の要約に専念するまでに至らず、結局、問題文の重要な部分の抽出、そしてその中で使われている単語の言い換えを行うことしかできませんでした。「内容を凝縮せずに、提示された論点を違う言葉で相手に伝える」という感じですね。文中では論を少しだけ発展させる形で繰り返し語られる箇所がありますが、そういったものは他の部分と結合させて、思いっきり省きました。結果的に英文の長さは200 wordsを少し越える位なのですが、これで良いのかどうかは正直分かりません。他の方の意見を聞きたい位です。
○ 対策
 Economist等から抜粋した700 words位の文章を、学校の先輩から頂くことができたので、それを要約する練習をしました。元々英文の要約なんてこれまでしたことなかったので今回取り組んでみてその難しさを初めて知るに至った次第です。それにしても、バイオ燃料は想定外でした。私の準備不足が本番で露呈した形になりました。また、自然科学分野の単語はほとんど頭に入っていなかったことから、問題文の意味取りの段階でかなり苦戦しました。
 (一般試験に関しては、)対策として、国連発表の資料や関連情報を漁るよりも、EconomistやTimes等を読んで要約を試みることが一番だと思います。実際に出題されたサンプルと今回出題された設問に取り組んだ経験から(根拠として弱いのは承知の上で)申し上げれば、ある現象や問題に対して経済学的等の視点から批判するパターンに終始しているように思います。今回の問題も、化石燃料にかわる潜在的代替資源であるバイオ燃料についての特徴や利用可能性を扱ったものですが、研究開発の現段階での問題や、コストの点、そして作物が資源利用に偏重されうることが問題文中で指摘されていました。こういった文章はUN Wireや国連公文書、Scientific American等ではなかなか探しにくいのではないかと思います。むしろ上記週刊誌やFinancial Times, Guardianの社説で比較的良く見る文章展開です。なので、情報の新古は問わず、上記雑誌等を読んでみて要約してみるのが近道だと思います。個人的にはEconomistで十分じゃないかと思います。
 そして重要かどうかは分かりませんが、語彙の幅を広げることも行った方が良いと思います。英字新聞を読んで、表現をノートなどに蓄積していけば十分だと思います(e.g. Carbon Dioxide = A heat-trapping gas)。
○ 過去に政治分野のP3に合格した方(外務省専門調査員国連代表部での勤務経験も有り)とお話する機会があったのですが、その方が言うには国連試験でアカデミックな議論を長々と書くようなエッセイは解答として不適切だそうです。一番理想的な解答とは、「項目を羅列した報告書のようなもの」、とのこと。論述だからといって長々と答えるよりも、要点を上げて、それについて2,3点(or文)を書けば良いそうです。P2試験でそのままこの考えを当てはめて良いかどうかは分からないものの、少なくとも答えやすくなることは経験上確かだと思います。
③アドバイス(専門試験)
○ 大問はそれぞれ45~50分、小問はそれぞれ10分で計3時間45分(225分)といった見当での問題消化を念頭に置いているようです。また解答ページは大問がそれぞれ5ページ、小問がそれぞれ3ページ割り当てられています。大問は配点がそれぞれ120点という具合に高めに設定されているため、5ページ弱まるまる解答で埋め、小問は1ページ位の解答で切り上げるようにしました。そもそもネイティブでも問題内容を理解した上で、10分位で2,3ページの解答を作ることはかなり大変な作業だと思います。ですが、デキる受験者は、大問をしっかり、かつ、なるべく早く終わらせ、小問で解答を充実させることで他の受験者と差別化しているのではないか、と想像します(あくまで想像です)。
(行政区分)
○ 行政の専門試験を受けた感想としては、今年は調達に関する問題が少なく人事、予算に関する問題が大半を占めていたこと、Club JPOに載っていた2004年、2005年の行政分野の問題が結構かぶっていて参考になったこと、問題数が多いので結構なスピードで解かないと時間がなくなってしまうこと、4時間30分はやはり長くその間集中力を保つのは結構大変なこと、などです。
(広報区分)
○ 広報の専門試験は全体的に創造性を要する質問が多かった。広報の経験や国連で実際に働いたことのある人には簡単なのではないかと思います。国連親善大使等を暗記しておけばよかった、と思うような質問もありました。
(安全区分)
○ 試験対策
 試験対策としては、サンプル問題の内容に沿って、開発研究に特化しているシンクタンクやNGOが出しているSecurity Managementのガイドライン等に目を通しました。Security ManagementやRisk Analysisは概ね共通したフレームワークができあがっているようで、それを頭に入れてしまって、後は問題に応じて解答していく、という方法で勉強しました。なお、定量的なリスク算定を行うような問題は出ず、全て定性的に答えるような設問でした。
 誤算だったのは、サンプルで目にした問題では背景描写が多かったので、論点抽出をやりやすかったのに対し、今回はそれがほとんど無かったため、自分で危機シナリオを考えぬき、それについて打開策を提示する必要があったことです。こういった状況は予測していなかったため、あやふやな解答になってしまいました。これをクリアして完璧な解答を考えきれるのは、Security分野では、よほど経験を積んだ軍人(かつ英語が堪能な受験者)でないと無理だと思います。

○情報収集の重要性
 主だった試験対策勉強会等が無く、個人で準備しないといけない状況の方がほとんどだと思います。ですが、色々な方にコンタクトを取り、関連情報を集めることは必須です。私は田舎在住でしたので情報がなかなか集まらなかったのですが、大学教授や母校のOBにアクセスし、良い解答方法、勉強方法をメールや直接訪問等をして可能な限り情報を集めました。なかなか思ったような収集結果が出ないでしょうが、ねばり強く色々な人と接触しましょう。東京やニューヨーク在住の方はその当たりは格段に楽だと思いますので、ぜひそのAdvantageを活かして欲しいと思います。
(社会区分)
○ 国連のHPなどで関連分野・組織の情報を収集しておくべき。せめて、国連等が発表した主要な報告書には目を通しておいたほうがよい。特に、国連が、関連分野で何をしているのかは把握しておくべき。
○ 試験の感想は世銀発行のWorld Development Reportや大学院レベルでの開発学の教科書(e.g. Todaro著)を読んでいれば回答できる問題だという印象を受けました。

2.一般試験
○一般試験(General Paper):45分  
 一般試験は、fungus (菌類)から取れる、石油や石炭などの化石燃料に変わる代替エネルギーに関する論文を200語から300語(約3分の1)に要約せよ、という問題。
(要旨)
Tree fungus found in North Patagonia can produce long-chain, high-energy density hydrocarbon called ‘mycodiesel’. They are unique as they do not have to go through the step of creating sugar with enzyme. They can directly decompose cellulose into diesel level long chain hydrocarbons. This characteristic of the fungus may be useful in utilizing organic waste for biofuel production, rather than crops, which have been receiving critiques for increasing food price. Process and challenges in implementing this technology is discussed.
3.専門試験(3時間45分)
 大問(essay)を3題、小問(short questions)が区分によって、最大10題。
(1)行政
①大問(3問必須)
○ 国連事務総長がグローバル化する環境において国際機関における改革(change management)を求めている。事務総長に人事改革の提案をしなさい。
○ Result-based budgetの定義を説明せよ。またそのメリット及びデメリット、期待されうる効果をあげよ。
○ Internal justification system にはinformalとformal systemの両方が存在しうる。両者の特徴とメリット、デメリットを説明しなさい。
②小問(8問必須?)
○RFP (request for proposal)は、public sector、private sector ともに共通する内容が含まれる。RFPを作成する際に含まれる内容をあげなさい。(もしくは、○国連の中でもいろいろな機関で、お互いへのrequestの仕方が違うが、requesut(の書面?)の中には何が含まれるべきか。)

○国際機関(multi-culture organization)がセクシャルハラスメントに関するするガイドラインを作成する際に含まれる内容をあげなさい。

○Hardship area で働く職員のbenefitとcompensationを提案しなさい。

○マネジメント層に対するコーティングのトレーニングを開催します。必要な期間とトレーニング内容、形式を提案しなさい。

○国際機関で働く人材を小国から確保するために考えうる活動を3つ提案しなさい。

○Human Resource Information System (HRIS)とは何かまたその目的を説明しなさい。
 (non-profit organisationでHuman Resource Information Managementをする効果?)
○Structured interviewを補完する人材選出テクニックを挙げ、そのテクニックが具体的にどのような場合に効果的であるか説明しなさい。(もしくは)competency-based interviewの質を高めるための3つの技術を挙げなさい(?)。
○??-based accountのsocial justiceについて。
○official communicationとunofficial communicationの 
 advantagesとdisadvantagesについて
もしくは、○職場でdisputeが起きた場合, それに対する応対で気を付けること。formal, informalな解決方法とそれぞれのデメリット、メリットを挙げる。
(2)情報技術
①大問
○ PEACEKEEPING活動に必要なシステムのアーキテクチャに関する問い
 どのような機能が必要かについて、1ページ半の長さで文章が書かれています
 1.必要と思われる要件を記入しなさい
 2.アーキテクチャを図示しなさい
 3.不明
○ カンファレンスへの登録に用いるデータモデルに関する問い
 次のような条件がリストされています。
 ・条件1: カンファレンスには、複数のワークショップがあります
 ・条件2: ワークショップは、複数のプレゼンターが発表を行い、プレゼンターの内1人は、リードプレゼンタです
 ・条件3: ワークショップは、カンファレンスの間、異なる時間帯で、複数回実施されます
 ・条件4: ワークショップには、複数名が出席します。それぞれの出席者は、事前にワークショップへの登録を行います。ワークショップのプレゼンターも、異なるワークショップに参加します
 ・条件5: ワークショップは、各部屋で開催され、それぞれの部屋では、席数の属性があります。
 1.この条件を管理するためのERDを描きなさい
 2.次の要件を満たすSQLを記述しなさい
 ※ それぞれの要件に関する記憶が曖昧です。ご注意ください
 (1) John, Smith氏がプレゼンタを行う、ワークショップに関するSQLの記述
 (2) ワークショップの席数に関して、ある条件でソートして表示する
 (3) 不明
 3.正規化と非正規化に関する問いです。正規化の3つの段階に関して説明しなさい。
 また、非正規化を行う意義と、1で回答したERDで非正規化を行うとすれば、どの部分か、また、その理由を答えなさい。
○ 開発ライフサイクルに関して
 開発ライフサイクルにおける6つの段階に関して、それぞれの段階における成果物を含めて説明しなさい。
 また、最も大切と思われる段階について、理由とともに答えなさい。
②小問(6問程度)
○ SOAに関して説明しなさい
○ マルチスレッドとマルチプロセスの違いについて説明しなさい
○ AJAXとは何か、その説明と注意点を記述しなさい
○ ストアドプロシージャに関して説明しなさい
(3)広報
①大問
○ Millenium Development Goals (リストはされてます)の進展について、潘国連事務総長のOpinion Editorial の原稿を準備せよ。
○ 国連安保理が他国の政府高官らを交えて国連の調停(特に安保理)がいかに紛争防止に効果的だったかを話し合い、国連調停の強化を推奨した。当該会議に関するプレス・リリースを読み(長かったです。4ページ程度あったように記憶しています)、ニュース記事を書きなさい。
○ n/a
②小問(8つ)
○ 女性に対する暴力を防止するために、どのようなプローモーション活動ができるか例を挙げて説明する。
○ 2010年にサッカーのワールド・カップが南アフリカで開催されるが、スポーツがアフリカ開発にどのように貢献できるかを宣伝する活動を3つ挙げる。
○ International Day of Biodiversityを宣伝する活動を挙げる。
○ 何のイシューについてか忘れましたが、5分のラジオプログラム用に、文章を読んでまとめさせられました。
○ UN missionが停戦合意をした二国間の境界地帯に派遣された。通信および交通インフラが非常に貧弱な場所であるが、そこに広報センターを設立する。この広報センターの主要な役割を3つ挙げ、どのように目的を達成するかを説明する。
○ 市民社会団体が国連オフィスで大量虐殺防止を推進するための展示会を開催したいとの要請があった。許可を与える際に考慮せねばならないことを3点挙げる。
○ 国連親善大使等として活動した有名人のリストがあり、3人選んで彼らが何のイシューのために、どのような活動をしたか記す。
(4)安全
①大問
○ Family Duty Station およびNon-Family Duty Stationにおいて、国連職員とその家族のための安全対策に関関し、危機管理プランのアウトラインと考慮すべき点を考えて上司に提案してください。
○ あなたは、最近まで紛争が続いていた地区における Assessment Missionの一員に任命されました。当該ミッションには、3台の車両によって、建築、人権、衛生、ロジ、教育、社会調査の専門家など6名が参加します。安全担当官はあなた一人です。
1. あなたは、このミッションのために、どのような安全対策を薦めますか?
2. あなたはこの地区を管轄する政府機関に対し、どのような支援を求めますか?
3. あなたは、他のミッションメンバーに対して、あなたの安全対策が正当であるとどのように  説明しますか? 
○ あなたの事務所では、職員の移動や物品の運搬のために地元の小さい空港を使用しています。しかし、この空港は、他の主要な空港と比べると、安全を維持するための設備などが整っていません。あなたは、国連職員や人道支援に関わっている他の職員が乗っている国連機の事故に備えて、a contingency plan を用意するよう指示されました。
1. あなたのPlan は何を含みますか?
2. あなたのPlan には、どのような検討が必要ですか?

②小問(8問)
○After Action Reportを作成する目的は何ですか?このレポートは何を含むべきですか?○地元メディアが、国連職員による地元女性に対する性的搾取や暴力が存在すると伝えました。このことは、どのような安全上の問題を含んでいると考えますか?
○国連への抗議のために100人位のデモ集団があなたのいる事務所に向かっていると、地元警察から連絡が入りました。あなたは、どのような即時の行動をとりますか?
○人権担当官が、人権違反の調査を中止するよう警告する不審な紙や電話を受けています。あなたは、その人権担当官やその上司にどのようなアドバイスをしますか?
○ミッションに出掛けた1つのチームが行方不明になりました。彼らの車両が残されているとの報告があります。また、彼らが無線で事務所に対し連絡を試みた記録も残されていました。2時間後には、日が沈み暗くなります。あなたはどのような行動を取りますか?
○国連事務所の安全維持のために、金網、監視カメラ、監視台などの目で見える防護手段を講じる利点と不利点を述べてください。
○あなたは国連事務所を設置するための事前検査を命ぜられました。どのような点を検査しますか?
○あなたは、国連職員が避難する際、国連の飛行機に搭乗するために集合する場所の安全管理を任されています。この集合場所におけるあなたの安全対策の一番目の見出しとその内容は何ですか?
(5)社会
(大問)
○ Rural development and its implications to poverty eradication.
○ Economic growth, while necessary, is not sufficient for comprehensive for social development. Discuss.
○ How can governments and the private sector help achieve full employment and decent work?
   - Define “full employment” and “decent work”.
      - Explain the significance.
      - What can governments and private sectors do towards full employment and decent work?
(小問)
-What are both cost/benefits of migrants in sending and receiving countries?
-What are the challenges of implementing MDG 8?
-What is the role of the UN in protecting human trafficking victims?
-What is the role of the UN in controlling both demand and supply side of drugs?  Answer each with one example.
-What are the cost/benefits of public and private sector provision of social services?
-What are social policies pertinent to indigenous peoples, and the ageing?
-What is the role of the UN in a human rights approach to development?
-How can social integration help achieve poverty reduction?
                                (以上)

2010年国連競争試験(NCRE) 筆記試験 実施概要

2010年国連競争試験(NCRE) 筆記試験 実施概要
この記事は、受験した方の記憶に基づいたものであり、正確でない、あいまいな部分があることをあらかじめご承知おきください。
1.会場の状況等
(ニュー・ヨーク)
NYについて報告します。9時試験開始、7時30分集合と書いてありました。しかし、7時30分には極一部の人のみしか入れず、順々に入っていきますが、多くは雨の降る外でそのまま並ばされました。自分が入ったのは8時50分。だいたい中間辺りで、全部が入ったのが9時40分。そこから試験の説明が始まり、10時10分に試験が開始しました。
・時間に間に合わなくていい。
・密室で空気は悪い。
・外でずっと立たされると疲れる。
・中に入っても、みんなが入るまで、事実上テキスト等は見ること可能。
・カンニング対策も緩いといわざるを得ず、荷物をもって中にないっても、椅子において置けばよいなど。
・席は2人で1つの机に座ります。同じ机に座る2人が同じ科目にならないように、ランダムに席は指定されます。感覚は60cmくらいの
・レターを忘れても、パスポートと身分証でいけるのが広まっているらしく、パスポートを自発的に持ってこない人も。
・時計はありましたが、大きな部屋にひとつでした。席から見えないこともあるので、腕時計を持ってきましょう。
なお、マンハッタンにある会場のホテルまで、空港から60ドル・50分(Google mapだと16分でしたが^^;)です。
(東京)
●Aさん
試験会場:国連大学
集合時間:17:45 ←17時にUNUに到着したところ、1階のフロアーで待機できました。
試験開始時間:18:30 ←この時間から、試験の説明開始。実際の試験が始まったのは、18:50ごろ
試験中は、飴、チョコレートなど、大きな音を立てない食べ物は食べることができました。
修正液・修正テープも使用可。回答は、黒ペンのみです。
リラックスした雰囲気・・・とは言いませんが、食べ物や飲み物を持ち込み、一人ずつはお手洗いに行けるので、落ち着いて受験できると思います。みな解答時間を確保するため、お手洗いにも走って行っていました・・・。
●Bさん
東京の会場に呼ばれた方は全部で66人でしたが
前のホワイトボードに専門毎の座席指定がしてあり、その情報からすると
各選考のうち多かったのは 1.人権、2.経済、3.法律、4.行政 といった
順番だったと思います。 人権で20人以上、行政で10人ぐらいでした。

また、ちょっとびっくりしたのが、少なくとも東京会場では
4人に一人ぐらいの割合で空席があった事です。
何かの理由で来られない方がいるにしても、こんなに多いのは
ひょっとして試験にconvokedされている事に気づいていない人も
結構いるのかな、と思いました。

(というのも、私自身、試験前日まで受験できると知らなくて、
試験二日前になっても特に書類審査をパスしたとか不合格だったとか
連絡が来ていなかったので、ダメ元で事務局に問い合わせメールを出してみたら、
10月21日付のconvocationレター付E-mailを再送して頂けて
初めて受験できると知りました。
多分事務局から送ったメールが迷惑メールに設定されていたから
気づかなかったんだろう、と思いますが、
「迷惑メールもこまめにチェックする」事の大切さを身に染みて感じました)

あとは、夜6時半から(実際は説明などがあるので6時45分ぐらい)
4時間半の長丁場の試験という事でとにかく疲れます。
終わったのが23時25分と、最後のほうはいっぱいいっぱいでした。
今年は仕事を早めに抜けて受験したんですが、今年駄目で
もし来年受けられたとしたら、来年は仕事休んで受けよう!と
心に決めながら家路についた感じです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2.GENERAL ESSAY
1995年の世界女性会議の成果として、女性的地位にどのような変化があったか、
さらに今後残された課題や、ジェンダー研究の課題についての2ページ半程度の文章を自分の言葉で要約せよ、という問題でした。
 後半部分が、超難文(単語や構文によるものではなく、単純に意味が不明)で、まとめることが難しい問題でした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3.SPECIALIZED PAPER
● 法律
1問目(Essay A)
小問5問。ある国が経済発展をしたいと考えているときに、(1)自分でどこの商業領域を開発したいかを記載しなさい。(2)そのために、採用されるべき国際法とその理由を述べなさい。(3)その国際法を採用したときの反応とその対策を述べなさい。(4)それらの国際法の平等適用・実行を保つための国際法レベルの主義を述べなさい。(5)その国が入るべき国際組織とその理由を述べなさい。
まさかの経済問題。しかも、質問が抽象的で、かなり裁量の幅があります。もっとも点差がつきやすい問題だったと思いますし、近くの法律専攻の外国人は固まって、この問題は飛ばしていました。
2問目(Essay B)
小問2問
まさかの2連続経済問題。安全保障理事会の決議を受けて、内乱の起きたTropica国の治安維持のために設置されたUNMIT。この組織が内乱でつぶれた電力を立て直すために、Shipping Co.という外国の会社からgeneratorを輸入して、Tropicaの内陸に届ける設定です。UNMITとTropicaの契約条項(force majeure, grant period, cafgo manifest後のclearanceの取得義務、支払減免条項(1日の遅れで5%の支払いの遅れでよい。))が具体的に記載され、法律については、UNMITはUN convention on Privilege and Immunity of the UN of 1946と同じ適用がされるとされます。同Conventionの説明はないです。
まず、generatorの積荷港で、積荷の後、Shopping Co.側の船のメカニズムの故障で、出港が遅れます。2週間後、無事に出向しますが、着港も2週間遅れます。契約書では、事前にproduct のmanifestをShopping Co.はUNMITに送らないといけませんが、さらにShoppingは着港当日にmanifestを送りました。船からgeneratorを降荷する(荷主のUNMITが取得しないいけない)許可(clearance)の取得が2日間遅れます。遅れながらも、陸路にのったgeneratorsですが、途中でTropica国の人に止められてしまいます。そして「customとして50000ドル、港の施設代として25000ドルを渡せ」といわれます。なんとか、後で交渉しましょうということで、その場はしのぎます。そうして、UNMITの手元に「customとして50000ドル、港の施設代として25000ドルを渡せ」のInvoiceが届きます。他方で、いきなりShipping Coから、(1)私たちはちゃんと契約を履行した。(2)着港においてclearanceをとるのが遅れたために、船が2日間余分に拘束されたので、その費用を支払え(710000ドル)と記載されたinvoiceが届きます。
この2つのinvoiceについて、UNMITの弁護士としてアドバイスしなさい、という問題でした。
3問目(Essay C)
小問4問
領海、接続領域、排他的経済水域、国際海峡及び公海?のそれぞれにおける航海において、沿岸国、旗国、land-locked国の権利義務がそれぞれ問われました。さらに、それぞれにおいて公害が陸から、船から出てきた際の責任、海賊を退治する際の権利義務について問われました。さらに、一部の国が国際海洋法条約に加入し、一部の国が国際海洋法条約に加入していないという状況です。国際海洋法条約と慣習法の区別まで求められました。
問題の設定分は実際には短く、5つ程度の国に、形式上名前がついていたものの、実質は知識を問う問題でした。おそらく、日本人でそこまで詳しい区別を知っている人は少ないので、この問題で(私を含めて)全員壊滅したのではないかと思います。Right of Innocent passageやright of transit passageを書けば、そこそこ点がつくと事前は思っていましたが、そんな言葉は問題文に既に書いてあって、これらのrightsを実効的にするための権利義務が問われていて、もうさっぱり・・・
4問目(Essay D)
他の科目はEssay Cで終わり、あとはShort Questionsになります。Essay DとEssay Eは、最後の方にある空欄の答案の□に自らDやEと入れます。Essay Cが終わった後で、書き込む答案がないとあせらないでください(笑)
小問2問
4問目は、うってかわって、超典型的名国際公法の問題でした。
ある豊かな州(Industria)が、毎年、90%の予算をState Aに出していたのですが、もっと衡平にしようとState Aに提案しましたが交渉が決裂します。State Aは黙らせようと、その州のエリート400人を虐殺します。州は頭にきて、State Aのトップを暗殺します。State Aのトップの葬式の際に、州は独立宣言します。他の国々は、Effective controlを及ぼしていた、その州を承認し、地域組織への加入を認めます。新国の隣の国は、当該新国が400人虐殺の罪で、自己の領域でバカンスを楽しんでいた、State Aの商業大臣を逮捕します。
小問は2つでした。(1)独立宣言及び他国の反応について法的見解を述べなさい。(2)逮捕について法的見解を述べなさい。
5問目(Essay E)
小問はなく、多数当事者間契約の留保について、説明を求められる問題でした。問題設定も、簡単でした。「多数当事者間で締結されようとしている条約においてState Bが強硬に反対している条項に、国内法に反するとしてState A, C,D,Eは難色を示しています。 留保は禁止されていません。State Aの弁護士として何をアドバイスできますか?」という問題でした。
(総合感想)
これだけ書くと、いかにも私がよく国際法を知っているかのように思えますが、私自身は国際公法をまともに勉強したことない者です。確実に落ちると思いますが、実質1週間で0からそこそこの回答まで書けるようになりました。日本人の壁である英語も、国際法の場合は、英語の原文(法律文言・ICJ判決の言い回し)をそのまま記憶して、記載すればいいので、楽な部類だと思います。その原典をあたって簡潔にまとめたノートを探してもなかったので、私が1週間ながらまとめたものがあります。そちらを管理人さんに渡しますので、ご参考にしてください。極力、すべての文章・単語は英語の原典(法律文言・ICJ判決・権威のある教科書)からとっています。ただ、1週間なので、期待しないでください(管理人注:↓をクリックして入手。)。
<a href="http://xiango.cocolog-nifty.com/blog/files/2010ncre.docx">「2010ncre.docx」をダウンロード</a>
終わってみれば、勉強時間としては2週間、3週間のレベルでも国連競争試験は十分勝負になると思います(落ちるのにすごいいいようですが^^;)。国際法に限っては、日本の教育レベルは高く、合格しやすいと思います。是非、新司法試験の受験者も含めて、積極果敢に挑戦してみてください。
ただ、海洋法は本当に押さえたほうがよいと思います。
次の試験で出てきそうな箇所は、responsibility to protect (humanitarian intervention)、use of force(imminent standard, non-state actorに対するcontrol基準)、targetable non-state actor、state responsibility, diplomatic protection, ICJの手続きになると思います。
● 人権
A.個人通報を利用した被害者からのメールを読み、4つの小問題に回答。
内容は、ある宗教派に所属してる女性が、疑いをかけられ、刑務所?取調べ?をされたときに、警察から拷問をうけたというもの。※その国は、全てのコア人権条約を批准している。

 ①メールの内容の人権侵害が、どの人権に当てはまるか(3つあげよ)
 ②(忘れてしまいました)
 ③人権担当官として、人権侵害が行われている国の政府にドラフトレターを書け
 ④この問題は、どの人権条約に当てはまるか。(3つあげよ)

B.災害援助に関する問題
 
C.人権高等弁務官に与えられた6つのマンデートの中から、2つ選び、そのChallengeしてきたことと今後の展望をのべよというもの。

Short Question
1.人権理事会(HRC)が来年5年目を迎えレビューが行われるが、何が必要とされるか
 2.拷問等禁止条約の選択議定書を説明せよ
3.MDGsにおいて、人権からのアプローチはどのようなものがあるか。MDGsの8つの中から3つ選び回答せよ
4.国内人権機関(NHRI)を設置する上で、人権担当官として、あたなは設置を考えている国にどのようなアドバイスをするか。
 ※このほかに4問あり。
(感想)
NCREの勉強対策ですが、国際人権法に関する本(国際人権法学概論など)とOHCHRのHPにあるFact sheets、Human Rights Issuesというページを参考にいたしました。

● 経済
Essay Question(全3問)

・環境経済学のコース理論について
・(すみません、覚えていません)
・流動性の罠について
-流動性の罠が起きている状態について、どのような政策が採用されるか、
2つ政策を挙げ、IS-LM曲線を用いてどのような効果が得られるか説明せよ
-流動性の罠の状態で採用される政策について、是否も含めて、あなたの考えを述べよ

短答問題(全8問)

・アメリカの負債三重苦に関する問題
・途上国経済における外貨準備高の位置づけ
・非排除性と非競合性を持つサービス・財は何があるか、その片方、もしくは両方を持つサービス・財についてマトリックスを作成し、それぞれの例を埋めよ。その組み合わせのうち、”情報”は
どこに当てはまるか
・インフレ率と通貨レート変動の関係
・農業改革が進んだことで経済成長にどのような影響があったか。技術開発はその中でどのような効果をもたしたか
・先進国の政府開発援助が途上国の経済開発にもたらす影響
・その他名目インフレ率、実質インフレ率についての問題
・2国の貿易における比較優位性と、各国2品ずつ別の生産効率を持つ財(生産効率について数字が与えられています)について貿易するべきか、自国生産するべきか、に関する問題

(感想)
経済学の基本的な理論についてはかなりしっかり復習している必要があると思いました。グラフを描いて説明を求められる質問も3問程度ありました。
ストレートフォワードな問題ばかりですが、とにかく時間がないので、さくさくと解いていく必要があります。エッセイには時間がかかりますので、気をつけて!
試験対策としては、かなり時事問題や経済学ジャーナルで議論になっている分野などをフォローするようにしたりしていましたが、どちらかというと教科書の復習の方が重要だったかな?と思えるような設問でした。
●行政
行政の専門の問題は合計で11問、合わせて600点でした。
最初の3問が各120点、合計360点。 残り8問が各問30点で合計240点という配分で、
試験問題に書いてある「目安時間」(大問45分、小問10分)通りにやっていったら
うまく時間いっぱい使いきれました。

問題1 UN人事システムについて(120点)
①「全ての加盟国から」人材を確保すること と、②有能な人材を確保すること、
この二つの目的を両立させるような人事システムを、
広報、リクルート、評価、人材確保の4つの側面から議論しなさい。

問題2 調達システムについて(120点)
①Best value for Money
②効率性(その他)
③公平な競争
④Interest for UN
これら4つのバリューを踏まえて、国連の調達(Procurement)制度への
提言を考えなさい。(なお、Best value for moneyと「一番経済的なオファー」との
違いについても説明しなさい)


問題3 新しいPKOミッション立ち上げのために必要な行政的手続きについて段階的に述べよ(120点) 


問題4~11(各問30点)
・人事担当として、職場での懲罰の対象になりえる行為と、
それらに対する段階的な罰則をどちらも最低3つ記載せよ
(Wikileakの事が頭にあったので、タイムリーなネタ?だと思いました)
・職場全員に対するアナウンスがあるときの
職場内での周知プロセスについて留意すべき点を挙げよ
・職場で、Head of Departmentに対してどれだけの権限を委譲しても
よいか、およびHead of Departmentに対するチェック機能について
など、計8問。(あまり覚えていません。。。)
以  上

2008年国連競争試験(筆記試験)実施状況等

2008年国連競争試験(筆記試験)実施状況等
Ⅰ 受験場所、時間帯など事務的な事項
Ⅱ 一般試験
Ⅲ 政務区分専門試験
Ⅳ プログラム評価区分専門試験
Ⅴ 財務区分専門試験
Ⅵ 環境区分専門試験
Ⅶ 人権区分専門試験
(注1)この記事は、受験者からの情報をもとに構成したもので、正確さに欠く部分もあることを予めご了解ください。
(注2)情報技術及び統計については情報がありません。

Ⅰ 受験場所、時間帯など事務的な事項
(日本)
日本での受験場所は、東京・津田塾国際センターの5F。試験は世界一斉に行われることもあり、日本は18時半スタートと設定されていました(参考:バンコクは5時)。受付は17時半から開始され、名前を確認してサインをし、携帯電話を預け、控え室に入りました。試験室には各試験分野が書かれた紙が受験人数分だけ置かれており、自分の受験する分野の席であれば座る場所は自由でした。18時半より、試験監督から、試験を受ける上での注意事項が説明されたので試験にとりかかれたのは18:50ごろでした。そのため、試験が終了したのは、23:30ごろ。退室できたのは、試験終了後、問題用紙と解答用紙の両方が全員分回収したことを試験監督が確認した23:45頃でした。細かいことですが、18時半までに、解答用紙と問題用紙がそれぞれ1冊ずつ配布されました。解答用紙には鉛筆やシャープペンではなく、かならず黒色のボールペンで回答をかかないといけないのですが、解答用紙にはscrap paper[メモやアウトラインをかける白紙]が問題ごとに用意されているのでとても助かりました。もちろん、このscrap paperは持ち帰ることはできません。あと修正液は使ってよかったのでかなり使いましたし、耳栓もしてよかったので、さらに快適に試験を受けることができました。試験時間は長かったですが、試験会場に、飲み物、他の受験者の邪魔にならない食べ物(例:チョコレート、あめ、食べても音の出ない食べ物 [さつまいもを持ってきていた人もいました])、そして、目薬など持ち込んでよかったのと、トイレにも試験中行けるので(一人ずつですが)、4時間半という試験時間は予想していたほどつらくなかったです。思考能力が時間とともにどんどん落ちていくのでチョコレートやアメにはかなり助けられました。室内の温度は高めに設定されていたので厚着をしていたのはちょっと失敗しました。
 試験は、一般試験(General Paper、45分、400点満点)と専門試験(Specialized Paper、
3時間45分、600点満点)の二つとなっています。専門試験では、Essay(3問、1問当たり120点)とShort Questions(8問、1問当たり30点)が出題されています。
(ニュー・ヨーク)
 集合時間は、試験開始予定時刻(午前9時)の90分前であります午前7時半でした。午前7時半に、Visitor用の入り口に到着し、国連のSecurity Officersに身分証明書と国連事務局から送付されたレターを提示し、門をくぐり、セキュリティーチェックを受けました。外での待ち時間はそれほど長くなく、15分位でセキュリティーチェックの建物に入りました。セキュリティーチェックが終わると、いよいよ国連本部の建物に入り、1階のロビーで待機となります。待機中は多くの受験者が自分のノートを見直すなど、復習をしていました。しばらくすると、受験会場への案内が開始されました。一人一人確認するので、実際に受験会場である国連総会の会議場に入るまでは、時間がかかりました。最後の方が入り、試験の諸注意、説明等が始まったのは午前9時を過ぎていたと思います。その後、受験分野ごとに問題が配られました。
受験場所は、ニュー・ヨークにあります国際連合本部内、国連総会を行う会議場でした。加盟国の代表者が出席する国連総会を行う場所で、代表席に座って受験できたのは幸せでした。照明も十分明るく、暖房も効いており、椅子の座り心地も快適でした。合計4時間半の試験ですが、辛いということはなく、あっという間に時間が過ぎたという感じです。
耳栓を持っていきましたが、私は結局使いませんでした。広い会場であり、隣との間隔も十分にあるので、周囲の音はそれほど気になりませんでした。修正液は必需品です。食べ物を持っている人は見かけませんでしたが、ほとんどの受験者が水を持参していました。。試験中に御手洗いへ行くことは、試験監督者の付き添いにより可能です。なお、ニュー・ヨークの国連本部での受験の場合、大きいリュックやカバンは、セキュリティーチェック後に預けなければいけません。そのため、私は、筆記用具、書類、文房具、水等を手で持って国連の建物に入ることとなりましたので、小さいカバンを携帯した方が良いかと思います。

Ⅱ 一般試験/General Paper
Child Soliderに関する文章を200~300字に要約するというもの。
(文章の概要)
Conflict causes children, both boys and girls to involve in armed groups or forces. Several reasons are explained why children become soldiers, or used as sexual purpose. One is by deteriorated social and economic conditions (poverty), suffering from insufficient food and insecure shelter. The other reason is less opportunities for education especially in conflict situation, where children have fewer alternatives other than involving in armed groups. Subsequently, children soldiers tend to lose family ties and relationships at community level. While research is ongoing, the number of child soldier is not exactly known. Various campaigns have brought “The Optional Protocol to the Convention on the Rights of the Child on the involvement of children in armed conflict” into force in 2002. The protocol states a range of setting the minimum age to be a hostile into armed groups and to recruit young generation into armed force recruitment. Nevertheless, the protocol is only one of the important steps to protect children from being soldiers. The ratification and implementation of the protocol are the key to the realization of the goal.

Ⅲ 政務区分専門試験
(Essay)
1: Discuss the main forms of cooperation between the UN and regional organizations in maintaining peace and security in the world. Use examples to support your discussion.
2: How does the vision of the UN laid out in the Charter differ from today's reality?
3: Discuss the main challenges in peacekeeping in this day and era. Use examples to support your discussion.
(Short Questions)
1: Explain what the meaning of "responsibility to protect" is.
2: What is the global impact of emergent regional powers in today's world? Discuss with examples.
3: Define the concept of transitional justice. Mention one country that has experienced it.
4: What are the main concerns in the fight against terrorism today?
5: What are the main challenges in DDR (Disarmament, Demobilization, and Reintegration)? Discuss with examples.
6: Discuss the rational theory of deterrence and the strengths and weaknesses of the concept. Use examples to support your discussion.
7: Explain briefly the political situation in two of the following countries and UN's involvement.
-Sudan
-Timor-Leste
-DRC
-Haiti
-Cyprus
-Lebanon
8: Explain the “North/South” debate on the protection of environment.
(感想1)
感想としては、エッセイのNo2などは「なんと答えてよいのやら」という感じもしましたが、全体としてはまっとうな問題ばかりだったような気がします。国連の動向や最新の議論を抑えておけば予測可能な質問が多かったと思います。
試験対策は時間がなくほとんど出来なかったのですが、まず勧めていただいたNZ政府発行のUNハンドブックとDPI発行の「国際連合の基礎知識(日本語)」を数回流し読みし、基礎を勉強しました。個別トピックに関しては新聞記事のDBを検索したりUNフォーラムを見たりして今話題となっているトピックを10程度抜き出し(「統合ミッションとハイブリッドミッション」「R2P」など)、山勘のつもりでそれだけに関してネットサーチで理解を深めるという作業をしました。結果的には予想が結構的中したので、短時間にしては効率的な準備が出来たと思いました。もちろん合格するかどうかはまったくべつの問題ですが…。
(感想2)
私もほぼフィードバックされた方(感想1)の意見に賛成です。
短い期間ではありましたが、駆け足でやりました私の勉強法としては、UNホームページからSRSGのpriorityが示されているトピックを検索して、そこのbackground informationなど、概要が網羅されている項目ページを選んでそこを読むという方法をとりました。そこから得られたキーワードについてサマライズの練習をするというもので、幸運ながらドンピシャのキーワードを拾えた問題も出題されていました。今回のまっとうな問題に取り組むにはちょうど良かったのかもしれません。
(感想3)
今回が最初で最後の受験となりましたが、基本的に、国連競争試験のホームページに載っているExamination SamplesならびにClub JPOに載っていた国連試験受験対策を参考に準備をしました。UN Daily News Digest、The Economistや他の英語の専門ジャーナルなどは筆記試験の半年ぐらい前から定期的に読み始めましたが、筆記試験のために本腰を入れて勉強を開始したのは、書類が通ったことが確実に分かった1月中旬からでした。勉強する時間がかなり限られていたため、勉強するテーマをPeace and Security分野に絞って準備をしてしまったため、昨日試験を受けてみて、国連競争試験のホームページに載っているExamination Samplesの最後に書かれていたlist of Topicsを最新情報だけでもすべて網羅しておけば良かったと後悔しました。また、国連がらみというよりは、Political ScienceやInternational Relationsなどのアカデミックな分野で扱われる用語や話題について出題されたのは予想外でした。
(感想4)
General Paperがchild soldierについての文章だったので、いくつか見た過去問と比べ、政務受験者には取っつきやすく、良かったです。問題はほとんど予想の範囲内で、今回もpeace and securityの分野から重点的に出題され、「最新の」というよりは、「ここ数年の」国連の動向を踏まえておけば十分対応可能だと思いました。試験対策は、年が明けてからUN News、The Economist、UN Wireのメール配信を普段よりしっかり読んだこと、Basic Facts about the UN(持っていたのは古い2000年版ですが)を読み、国連ホームページから、DPKO、安保理、2005World Summit関連でR2P、terrorism、国連改革、環境等のページ等を打ち出して最新の情報を補足したことです。競争試験のホームページに載っているExamination Samplesにあった国際関係学関連のトピックも一応ネットでおさらいしておいたので、助かりました。手書きで英文エッセイを書くのは久しぶりで、周りが同年代の方ばかりだったこともあって、英米の大学・大学院での期末試験を思い出しました。手で書くとスペルがあやふやな単語が意外とあるので、前日だけは書き取りながら勉強しておいて良かったです。

Ⅳ プログラム評価区分専門試験
(Essay)
1. Explain why evaluation is important for the UN, and what roles evaluation would play for the UN.
2. Discuss the difference between qualitative and quantitative methods with examples of each
method.
3. It is said that there are two purposes in evaluation "learning" and "accountability". Do those two purposes contradict each other?
(Short Questions)
1. Explain direct observation and how it is used in the programme evaluation.
2. Explain case study and how it is used in evaluation.
3. What is meant by triangulation and why is it important?
4. What are validity and reliability in the context of evaluation?
5. What are the steps of survey data analysis and reporting?
6. What are the factors that influence low survey response rate and why is it the problem?
7. What are the components of programme evaluation design?
8. What are the differences between monitoring, audit and evaluation?
(感想1)
勉強方法としては、事務局OIOSや各エージェンシーからでているプログラム評価のガイドラインを読んだ。最近の国連のニュースにも気を配っておく方がよい。
隣で電卓を打つ音を遮断するため、耳栓は便利。
(感想2)
When preparing for the exams, I looked at evaluation manuals of a couple of UN organizations (UNDP and WFP), OECD and the World Bank. On the day of the exam, I made sure I brought plenty of water and nibbles to keep the sugar-level high. Also, it would be good to take a bathroom break, if anything to stretch your arms and legs and cool down that over-worked hand.

Ⅴ 財務区分専門試験
(Essay)
1.X社の試算表と期中取引の情報が与えられた上で、
(1)期中取引の仕分け(12取引程度)
(2)修正試算表の作成
(3)貸借対照表と損益計算書の作成
(4)クロージングの仕分け
 
2.2006年度の各取引(8程度)の仕分けがまちがえて記入されたことによる(例えば2006年の購入取引が2006年の財務諸表には記載されず、2007年度の財務諸表に記載など)、2006年度と2007年度における、貸借対照表(資産、負債、留保利益)と損益計算書へのOverstatement(プラス(+))、Understatement(マイナス(-))の影響を特定する問題。 
3.監査証拠を収集する上での手続きについて、各証拠の信頼性についても言及しつつ具体例をあげて、5つ述べよ。
(Short Questions)
1.財務諸表報告書の限界について述べさせる問題
2.会計原則について述べさせる問題
3.与えられた貸借対照表と損益計算書からキャッシュフローを求めさせるケース問題
(indirect method)
4.Bank Reconciliationに関するケース問題
5.売掛金における、エイジングを考慮した貸倒引当金について答えさせるケース問題
6.減価償却を考慮に入れた上でのリース会計に関するケース問題
(2つのリース会計処理方法パターンの違いの把握が必要)
7.監査における各文書と関連のある各種文書(10程度)をマッチングさせる問題。
8.監査契約における代表的な3ステップについて述べさせる問題
(感想1)
問題は、財務会計の問題が7割、監査論の問題が3割くらいの配分。
公表されているサンプル問題よりは量は多く、質も高い印象を受けた。とはいえ、USCPA保持者や民間の外資系監査法人(もしくは外資系の監査法人系コンサルティング会社)で数年の勤務経験のある人には満点近くが狙える問題であったように思われる。従って、問題自体は必ずしも難解なものではないといえそうであるが、それだけ高得点同士での「競争」になることが予想される。私自身はUSCPA資格取得に向け勉強中だったため、その復習を中心におこなった。またサンプル問題や過去問を入手して、本番を意識した練習はしておいた。
(感想2)
競争試験サイトで配布されているサンプル試験と比べて、実際の試験では、監査の問題より、会計原則や、会計処理に関する問題が多く思いました。会計学を実際に学んだ人で、すべて確実に覚えていれば、解けない問題ではないと思いますが、それでもあの状況、時間配分などから言うと、簡単ではなかったと思います。

Ⅵ 環境区分専門試験
(Essay)(3問か)
○South-Eastern Europe and Eastern Europe, Caucasus and Central Asiaが環境管理において過去10年間で発展を遂げた主な分野とはなにか?地政学的な事情も含めて述べよ。また、今後さらなる向上のために何が必要か?
(Short Questions)(8問か)
○大気汚染などモニタリングをenterprise self-monitoring とpublic inspectionが担う役割は何か?
○想像上の国の設定で、持続可能な開発のために必要な政策を述べよ。その実行のために必要なことはなにか?
○経済発展と環境政策を政府はどのように両立できるか?これに関し、国際条約などは何ができるか?

Ⅶ 人権区分専門試験
(Essay)
1. A senior OHCHR officer has asked you to prepare a background note for the 2005 UN World Summit Outcome, summarizing the main outcomes of the Summit and progress so far. In your background note, please indicate:
- the main outcomes of the Summit and key changes to the human rights system;
- the main achievements so far and any limitations in the process;
- an assessment of the progress so far and the remaining challenges in ensuring the effectiveness of the human rights system.
2. Describe the relationship between human rights and development, in the context of the right to development. Discuss the main components of the right to development and how a human rights based approach to development cooperation may be implemented.
3. In post-conflict societies, some argue that amnesties should be granted for past crimes in order to support peace processes. Others argue that peace without justice is unsustainable and undermines the peace processes in a long term. Explain this issue and recommend a position that OHCHR should take.
(Short Questions)
1. What is the difference between human rights obligations of states and those of non-state actors?
2. Is death penalty illegal under international law? Indicate any relevant international instruments in your answer.
3. Describe the main features of the Guiding Principles on Internal Displacement. What is the status of the Guiding Principles under international law?
4. Describe the main features of the Convention on the Rights of Persons with Disabilities.
5. Explain what a General Comment / Recommendation is. Cite one example of a useful General Comment / Recommendation and explain why you think it is useful.
6. Explain tasks and responsibilities of a human rights component of the UN Peace Mission.
7. Describe the concept of a cultural right under international human rights law. List all cultural rights which are the most relevant.
8. List all regional human rights systems. Choose one of them and describe the main differences with the universal system.
(感想)
人権分野も範囲が非常に広く、何を勉強したらいいか迷いますが、今回のエッセイ問題では人権分野における国連の活動の知識が特に重要でした。また、ショートエッセイ問題では、一般の教科書的な内容の知識も必要かと思います。私の勉強方法としては、大学院で使用した国際人権の教科書や国連人権事務所などのホームページなどから資料をダウンロードし勉強しました。また、UNA-USAが発行している、Global Agenda は最近の国連の活動や焦点を網羅していますので非常に良い参考書ですが、2006年度版で終わってしまい、今回の試験において情報が最新ではないのが残念です。広く浅く勉強した方が、無回答を避けられると思いますが、問題の中には、深く知らないと数行で書くことがなくなるという状況になってしまいます。他の分野もそうですが、人権の場合、国際条約や宣言、委員会を問われる事が多い、または、自分の解答の中にそれらを入れることが多いので、固有名詞はしっかり覚える必要があります。
(以上)

国連競争試験 2006年 概要

 2006年2月に行われた国連競争試験について、「人口学」で受験した方から情報を寄せていただきました。

(専門試験)
○ Essay 3つのエッセイ問題にすべて答える。
1.1.Name four most important proximate determinants of fertility that are responsible for varieties in fertility level across human populations.
1.2. What is the typical direction of change during the demographic transition for each determinant in 1.1? How does it affect fertility?
1.3. Have all these four determinants constantly contributed to the reduction of fertility over time? Give examples.

2. What are the socioeconomic consequences of ageing population in terms of labour force, intergenerational transfer, pension etc? Name 2 to 3 demographic indicators that measure the ageing.

3. Name one advantage and one disadvantage of increased international migration on development. Discuss it from the perspectives of both receiving and sending nations.

○ Short questions 8つの問題にすべて答える。
1. Answer following question using the life table presented below.
1.1. What is the probability of dying at age 25 among those who survived to age 20?
1.2. What is the probability of dying at age 30 among those who survived to age 20 to 25?
1.3. What is the probability of dying at age 30 among those who survived to age 20?
2. Calculate SMAM using the following information and formula. Define SMAM.
3. Define the following terms: Stable population, stationary population, population momentum…
4. Define TFR.
5. Calculate growth rate and doubling time given crude death rate, crude birth rate and net migration rate.
コメント:人口学のMethodの問題は Samuel Preston et al. のDemography を7章くらいまで一通り勉強しておけば大体解ける問題でした。基本的な公式(doubling timeなど)以外、覚える必要はありません。 SMAMも公式が問題で与えられます。Methodが全部できても配点が低いので、エッセイのほうが重要です。近年の国連の出版物に目を通しておくとよいでしょう。
試験自体は長いので、飲み物、間食など用意しておくといいでしょう。試験中も持ち込みが認められます(少なくとも今年は)。
 

国連競争試験 2005年 概要

 2005年2月22日(火)に行われた国連競争試験について、試験を受けた方々から情報を寄せていただきました。以下のとおり4部構成でご報告します。

1. 受験場所、時間帯など事務的なこと
2. 一般試験(共通)
3. 専門試験(科目別)
4. 所感(どんな準備をしたか、どんな準備をすればよかったと思うか)

ご協力くださったみなさま、どうもありがとうございます。追加の情報もお待ちしています。

1.受験場所、時間帯など事務的なこと
<ニューヨークで午前9時から>
集合時間は1時間以上前でした。入り口のセキュリティに時間がかかるためだと思います。
受験地の変更を最初はメールでお願いしましたが、自動返答の「受験は締め切りました」というような内容が返ってきてしまい、電話で問い合わせてからメールしたらすんなり了解をいただけました。
<ロンドン郊外>
駅からも遠く、迷子になりそうでした(雪も降っていて寒かったです)。1時間半の余裕を見て行って、良かったと思います。4時間半の試験なので、皆、水やスナック類を持参していました。耳栓をこっそり持っていったのですが、とがめられることもなく、なかなか快適でした。
また、ボールペン使用でしたので、修正液を持参すれば良かったと思いました。
<ジュネーブで午後2時から>
「国連の建物の中で受験できる」という感動があったものの、だだっぴろい建物の地下1階にある試験会場はみつけるのがたいへんでした。試験開始の少なくとも75分前に集合と書いてあったのですが、試験担当官が到着したのは60分前でした。それから列を作って1人ずつ名前の確認、サインなどするため、最後の人が入場したのは開始15分前くらいだったと思います。 同じ区分の人が隣り合わないように席がアレンジされているのでカンニングはできません。
ほとんどの受験者が水を持参していました。試験時間が長いのでおなかが空きそうな人はクッキーなどを持っていくと良いかもしれません。試験終了後、問題用紙と解答用紙の両方が回収されます。全員分回収したことが確認できるまで、退出は禁じられました。
<シカゴで午前9時から>
集合は1時間前。会場に集まっていたのは40人くらいだったと思います。
日本人は多分私の他にもう1人くらい。Public Informationを受験したのは7人でした。
<東京・津田国際研修センターで午後の6時50分くらいから>
4時間半ぶっ続けだったので非常に目が疲れました。

2.一般試験(45分)
Technology in Educationに関する文章(4ページ弱)を200-300語に要約
出題文:Electrical Technology in Education(たとえばDistance Education)を途上国に導入することの是非。コンピューターの導入は新しい教育改革に多くのメリットをもたらすが、考えるべき問題点も多い。特に発展途上国においては先進国以上にデメリットがでやすい。コンピューターにアクセス出来る人と出来ない人との間での格差が広がる事(digital divide)、教育に取り上げられるトピックが西洋文化に偏ってしまう事、費用対効果で考えたときに従来の教師による対面教育よりも本当にメリットが高いのかよく考慮する必要があること、Electrical educationに投資することで、教師への予算が減ってしまうことなどが懸念される。
* 前回は一般試験と専門試験の間に明確な区切りはなく、一般試験と専門試験に自由に時間を割りふれたのですが、今回は開始から45分後に一般試験を終了させられ、(はがれやすい)シールで封印させられました。(但し、シールがはがれやすいため、こっそり教養試験を継続することは可能と思われます。)
3.専門試験(3時間半)
* 試験問題の持ち出しが禁じられているため、記憶を元に再現したものです。順序が違っていたり不正確な箇所もあることをご承知のうえ、参考にしてください)
○Administration (各問題の時間は目安です)
エッセイ3問(解答用紙はレターサイズ7ページ?)
Essay A(50分/120点):近年の国際機関における様々な改革についてChange Managementの観点より説明せよ。具体的な事例を示せ。
Essay B(50分/120点):予算作成に必要な情報はどのようなものがあるか?会計、非会計情報を問わず答えよ。また、NPOにとり、予算作成システムはどのようなものがあるのか?
Essay C(45分/120点):職員(Local、Internationalとも)に対し、どうすれば報償(Compensation)の公正性が確保されるか?
小問8問(各10分/30点)(解答用紙はレターサイズ5ページ)
1. Integrityとは何か?なぜ重要か?
2. アウトソーシングのプラス点、マイナス点をそれぞれ2点挙げよ。またはアウトソーシングする際に発生しうる問題を5点あげよ。
3. 入札時における考慮点を価格面以外で5つ挙げよ。
4. 人事の360度評価システムについて説明せよ。
5. 危険区域で勤務する職員に対する適正な報償制度はどのようなものか? 国際機関において人員を危険地域に派遣する際に気をつけるべきことは何か。
6. Reimbursement、Lump Sum basedはAdmin側、従業員側のそれぞれの立場からプラス点、マイナス点を述べよ。
7. 危険区域の事務所を閉鎖時におけるLiquidationはどうすればよいか?
8. 人事管理、調達における、Key Performance Indicatorをそれぞれ2点挙げよ。

○Finance
エッセイ3問
Essay A (1)期中取引仕分け13問と(2)合計試算表の作成
Essay B システム使用環境下での内部統制について説明せよ
Essay C 損益計算書の作成
小問8問
1. 例題2件について内部統制の弱点を指摘し改善を提案せよ
2. Audit Committeeの役割と責任について説明せよ
3. 過年度減価償却費を輸送費として計上していた場合の、今年度の修正仕訳と本仕訳を記せ
4. 外貨為替レートの変動をヘッジするために有効な手段について説明せよ
5. 発行株式総数を2倍に増やすための方法として100%のStock DividendsまたはStock Splitsが考えられる。双方の仕訳と長所、短所を説明せよ。
6. 財務分析レート:Inventory Turnoverの増加、Current Ratioの減少、Price/Earning ratioの減少をどう解釈するか。

○Humanitarian affairs
エッセイ3問
Essay A 武力介入について、State Sovereignty, non-intervention原則とからめて論じ
Essay B Humanitarian Crisisのケーススタディ。文章を読み、現地の政府からの求めに応じてEmergency Responseを策定せよ。
Essay C Natural disasterのケーススタディ。文章を読み、Emergency Responseを策定せよ。具体的なアクション、プライオリティ、担当団体、リソースなどを入れる。
小問8問
1. Humanitarian work が Political/Military work と一線を画して仕事したほうがいい理由を3つ挙げよ。また、どうすればそれが実現できるか。
2. 難民に関する国際条約を4つ挙げ、説明せよ。
3. 下記のHumanitarian Organizationのうち、3つを説明せよ。(Oxfam, CARE, World vision, Red Cross など)
4. 下記の国・地域のうち、3つのHumanitarian situationを説明せよ。(北朝鮮、パレスチナ など )
5. UNDPのEarly Warning Systemに関する問題

○Human Right
エッセイ3問
Essay A Prepare a study on the legality of corporal punishment of children. Which documents would you use? Which human rights principles would underpin your arguments? Prepare an outline.
Essay B Draft a brief justifying the adoption of an instrument on the rights of persons with disabilities. Which form and content should the instrument has?
Essay C Describe the role NGOs have played in developing international human rights law.
小問8問
1. What are the UN’s initiatives in creating legally binding obligations for corporations?
2. List regional human rights systems and compare them to the international system.
3. “Economic, social and cultural rights are fundamentally different in nature from civil and political rights.” Discuss.
4. How does the UN pursue the twin goals of combating terrorism while protecting human rights?
5. List the central documents protecting the human rights of women.
6. What is the status of the views and decisions of the Human Rights Committee? Which remedies can it order?
7. Describe the 1503 Procedure and any reforms you suggest for it.
8. Describe composition and function of the Sub-Commission.

○Public Information
エッセイ3問
Essay A (1) How to establish a web page regarding the issues of indigenous people.
(2) Mock up the web page regarding indigenous people, including the contents & banners. Explain why it is important to do this way to announce the issue.
Essay B Write a press release on General Assembly(?). The statements are provided by the Secretary-General and representatives of four countries, suggesting to establish rule of laws in international society.
Essay C Write a letter to the editor of Washington Post, asking to revise an article criticizing the UN regarding the issue on “oil for food” program.
小問8問
1. Press Briefingとは何ですか?Press Briefing の際にジャーナリストとして気を付けなくてはいけない点を3つ書きなさい
2. General Assemblyの後、PresidentがPress Conferenceを開きます。スポークスマンとしてあなたは(1)どのようにしてPress Conferenceの準備を行いますか?(2)Presidentに前もってメモを渡しますがどのような内容(3つ)を含みますか?
3. Peacekeeping Operation/Peace Making OperationのPromotionのTarget Audienceにはどのグループが選ばれるべきか。3つ選んでその理由を書きなさい。
4. 政府やNGOが取り組んでいる環境問題を更に広めるにはどうすれば良いか。政府やNGOに何を依頼すべきか。
5. 従来の情報通達手段と最新の情報通達手段を比べて、双方の長所と欠点は何か。

○Social Affairs
エッセイ3問
Essay A Drawing from the peacekeeping operation experiences of the UN, what are the parameters or strategies to realize social development?
Essay B In the MDGs, the first target is to halve the extreme poverty, but many others contain those regarding social objectives, such as health and education. Explain the rationale behind advocating such social objectives.
And do you think that macro-economic policies should be linked with those social objectives? Explain.
Essay C Define the term, "equitable society" and discuss the debate over its definition. And also discuss how realization of the equitable society contributes to economic growth and social development, and the role of the UN therein.
小問8問
1. Discuss the measures the UN has taken to combat drug and drug abuse
2. To realize the MDG of attaining the universal education, what are the two main barriers against effectively achieving this goal?
3. Explain two instances how technology and science can contribute to achievement of the MDGs.
4. What are the two instances where globalization affects the welfare of the indigenous people?
5. What are the ways to achieve food security?
6. It is important to consider those who are vulnerable and marginalized; they are women, the aged, children, and people with disabilities. Explain the interplay and effective ways to integrate this objective into overall policies of state.
7. What has the UN done against the refugee issues?
8. What are the two ways that Government can do to protect biodiversity?
9. What has the UN done against the human trafficking issue?

4.所感(どんな準備をしたか、どんな準備をすればよかったと思うか)
<一般試験>
一般試験の要約は全体から見て配点が高いのでなるべく時間を掛けるつもりだったのですが、実際には45分しか割り当てられず(45分後にシールを貼って閉じるので後から戻ることは出来ない)見直しをする時間がありませんでした。時間内で要約をする練習をしておけば良かったです。
雑誌や新聞記事を要約する練習が役に立ちました。
<専門試験>
UNA-USAが毎年発行しているGlobal Agenda という本があり、2年前くらいの国連の1年間の動向をまとめています。自分の関係分野の箇所だけでも読んで、動向を掴みつつ、キーワードを拾うといいでしょう。そのキーワードをネットで検索して理解を深めたり、関連する国連文書(今回は2002年のAgenda for further change)等を読んでおけば、少なくともEssayの対策には有効だと思います。
国連安保理、総会、事務総長室発行の主要なレポートを読むと良いと思います。
各分野、関連業務の経験があればかなり有利だと思います。

○Administration
昨年度にひきつづき人事、予算、調達の3分野に問題がほとんど集中しています。(今回のShort Question 7は例外です)しかも、近年の国連の動向を踏まえれば、ある程度は予想はつきます。例えば、予算ではResult-Based Budgetingという制度を導入中ですし、人事ではBroad-Bandingを試験中です。また、DPIを合理化したり、人材不足なのか職員の配偶者の採用優遇等もしています。
公に出ていた参考問題をやったり、マネジメントの本を読み返したりしました。非営利や国際機関のマネジメントにもう少し突っ込んで勉強すればよかったです。
○Finance
試験内容については、財務会計と監査論が中心でしたが、Audit Committeeの役割を論じる点など、昨今のOil for foodへの監査など時事的なものも多少は反映しているのかなと思いました。
○Humanitarian
http://www.un.org/documents からダウンロードできる
A/59/6 (Prog. 22) Humanitarian assistance
A/59/6 (Prog. 20) Protection of and assistance to refugees
が参考になりました。
家にあった関連文献を読みました。
Basic Facts about the United Nations (英語版は2004年9月に改訂版が出ています)
Understanding International Conflict (Joseph S. Nye, Jr; Longman)
Do no harm (Mary B. Anderson; Lynne Rienner)
Conflict Prevention (Carment & Schnabel; UNU)

○Public Information
事前に勉強したこと。
(1)国連のWebサイトで毎日国連ニュースを読んでいた。
(2)国連ジャーナルからいくつか記事を選んで要約の練習をした。
(3)ビジネスレターの書き方の練習をした。
(4)Press Releaseに目を通すようにして、journalistic styleでの書き方を練習した。
(5)Journalism, Public Relationsの教科書を読み返した。
専門試験の問題は資料を先にかなり読まなくてはいけなかったので、なるべく多くの文書を要点を押さえながら読む練習をしておけば良かったと思った。
<その他>
あきらめかけていた頃に受験通知が届いたので、あきらめず日ごろからもう少し勉強しておけばよかったと思います。
Club JPOを活用すればもっと情報がえられたような気がします。

国連競争試験 2004年 書面審査 概要

国連競争試験 2004年 書面審査 概要 
      (応募は2003年夏)
 国連が発表した情報に基づき、2004年の書面審査合格者の分析を簡単にしてみますと次のとおりです。
 区分は、総務、人口、情報技術、図書館学、政務、社会、統計の7区分。
 合格者総計は、3,948人
 総務1009,人口66、情報技術625,図書館学152,政務1122,社会733,統計241です。
 国籍は発表になっていませんが、日本を試験地に選んだ人は、99人で、総務25,人口3,情報技術5,図書館学1、政務30,社会30、統計5となっています。日本を試験地に選んだ人のほとんどが日本人とみられ、また、これらは、日本人受験者の半分くらいを占めているのではないかと思います(私の見立ててでは、日本人合格者は、200名前後か?)。
 各国ごとに各区分の上限を定めているのですが、日本でその上限に達している可能性があるのは、政務、社会、もしかすると総務くらいでしょうか。ということは、政務と社会の合格ラインは、他の区分に比べて厳しい、ということになるでしょう。
 では、以下に、2004年国連競争試験の書面審査の合否等について、19名の方から情報が寄せられましたので、その分析結果を掲載します。
1.概要
 この年は、総務、人口、情報技術、図書館学、政務、社会、統計の7区分について試験が行われましたが、情報提供者の内訳は、総務2、社会4、政務9、人口2、情報技術2でした。統計、図書館学については、情報がありませんでした。
 19名の書面審査合否は、11-8(合格-不合格。以下同様)でした。
 区分ごとについてみていくと、次のとおりです。
 総務2-0(総務で応募し政務で合格した者を総務不合格と解すれば、2-1)
 人口2-0
 情報技術2-0
 政務3-6
 社会2-2(社会で応募し政務で合格した者を社会不合格と解すれば、2-3)
 総務の合格者のうち1人は、政務に応募した方で、政務の合格者のうち、一人は社会の応募者でした。要するに、(1)政務応募→総務合格、(2)社会応募→政務合格、の二つのパターンがありました。
2.各区分の状況
 競争試験の書面合格者数(筆記試験受験許可数)は、国ごとに上限が設けられているとされ、各区分50名となっている模様です。日本の会場での受験者数を勘案すると政務、社会、場合によっては、総務が、競争による選抜になった可能性があります。逆に、人口、情報技術、図書館学、統計については、受験者数が少なく、競争による選抜ではなく、国連競争試験で選抜されるに相応しいかという絶対的な基準で選抜されたことが推測されます。各区分についての合格・不合格を考察すると次のとおりです。
(1)人口(サンプル数2)
 大学院在学中で、人口学に直接関係のありそうな経験がそんなに長くなくとも、書面審査に合格しているようです。
(2)情報技術(サンプル2)
 実務経験がなくとも博士課程在学であれば、合格するようです。また、1年の大学院コース修了でも、実務経験がそれなりにあれば合格するようです。

(3)総務(サンプル数2)
 大学院プラス若干の関連業務の経験があれば合格するようです。
 ただ、推察するに、総務は実務経験を重視していると推測されます。
(4)社会(サンプル数4)
 2年の大学院コースプラス1年の関連業務経験で、不合格とされている例がありました。さらに、大学院在学中で、大学院進学に先立ち、相当の期間、関連職務経験を積んだとみられる方が不合格になっていました。
 他の2名は合格していましたが、二人とも「不合格になる理由がない」というくらいの立派な経歴でしたので、どのあたりが合格ラインかはわかりません。
 なお、社会を希望して、政務で合格となった方については、職務経験は社会に近いような印象ですが、どうも大学院での専攻を優先されたように推測されます。

(5)政務
 大変わかりにくい結果でした。
 大学卒業後、ほぼストレートに大学院に進学・卒業し、職務経験は、在学中のインターン程度という方が合格していた一方で、大学院を卒業した方で職務経験を相当程度有する方が不合格になったりしています。ただし、前者のインターンとしての経験は、まさに政務関係でしたし、後者については、政務とは直ちには結びつきにくい専攻、職務内容等であったという印象でした。
 ということは、職務経験については、関連業務以外であれば、長期間であっても、あまり考慮されていないと推測されます。

3.まとめ
(1)所感になりますが、各区分を通してみると、書面審査基準が異なっている印象を持ちました。総務は、経験重視の趣があります。逆に政務は専攻・研究経験重視と見えなくもない印象でした。
(2)インターンの経験が評価されることがある一方、有償での勤務経験であっても関連の有無により評価されないことがある、といえそうです。つまり、職務経験については、やはり内容が重視されていたと思われます。どんな職務経験でもありさえすればいい、というものではないことは確かのようです。
(3)書類提出時に修士在学中の方をみていると、総務:2-0、社会:0-1、政治:2-4という結果でしたが、在学だから駄目、ということはないでしょう。
 ただ、少し気になるのは、1年間の修士コースに在学中の場合でして、その場合、来年卒業見込みという扱いをしていない可能性があります。この辺り検証してみたいような気がします。
(4)応募区分と受験区分が異なる場合についてですが、本来の応募区分に戻すよう要請したら、認められたケースがあると聞いています。ただし、応募区分で不合格だが、別の区分を受験することを条件に合格させる、ということもありえますが、その場合、「応募区分で受験させろ!」と国連事務局にクレームをつけたら、「はい、書面不合格にさせていただきます」と言われるかもしれませんね。
(5)政務については、わかりにくい結果であると書きました。まさにそのとおりで、政務受験者にも、私が個人的によく知っている方が複数いて、合格者に比べ、政務に関する経験がより勝っているといえる方が不合格になっていたりしました。原因をいろいろ考えましたが、CVの書き方の良し悪し以外の可能性を思いつきません。応募区分に関連する経験を強調するような工夫は欲しいところです。
 なお、CVは丁寧に書いてください。かつて、国連の人事担当官から、「頼むから誤字脱字をしないように言ってくれ」とお願いされたことがあります。
 以上、サンプル数が少ないこともあり、なかなか面白い結果が出てきませんでしたがとりあえずの報告まで。

2003年国連競争試験

CLUBJPOでおなじみの栄谷明子さん(UNICEF・JPOセルビア・モンテネグロ)が、提供された情報をもとに国連競争試験の過去問を編集してくれました。
 まだまだ情報量が少なく、いわゆる「過去問」といえるような域ではありませんが、今後、情報提供者が増えれば、より詳細な過去問の再現ができると思いますので、みなさん、是非ご協力ください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 2003年の国連競争試験について、試験を受けた方々から情報を寄せていただきました。以下のとおり4部構成でご報告します。
1.受験場所、時間帯など事務的なこと
2.試験問題(専門試験)
3.試験問題(一般試験)
4.所感
ご協力くださったみなさま、どうもありがとうございます。更に情報があれば、またご連絡ください。
1.受験場所、時間帯など事務的なこと
Aさんの場合
受験場所:津田国際研修センター
受験時間帯:事前には、2月4日、5日両日とも夕方6時ごろから、集合時刻は30分前とされていたが、実際には6時に説明が始まり、問題用紙の配布、氏名などの記入、氏名などをカバーするシールの貼り付けなどの作業があるため、1日目は6時35分、2日目は6時15分に試験が開始されました。試験時間は4時間。両日とも10:30ごろ終了でした。
教室:ひとつの教室に50名程度の席があり、出席率は6割から7割ほどでした。
受験科目:東京会場での筆記試験受験者は経済と法律が一番多く、その次に多かったのが意外にも追加募集の区分である科学技術でした。それ以外の分野は一桁台の人数でした。
2.試験問題(専門試験)
*受験者の記憶をもとに再現してもらったものです。一部、記憶が曖昧だったり、不正確な個所もあるということをご了承のうえ、参考にしてください。
法務
第1問
前国家元首(大統領)の主権免除について
A国の前国家元首は、大統領時代に、国内紛争における政府軍による少数者集団の反乱軍が駐留するある地域の鎮圧を命令した。またこの少数者は、分離独立運動を行っており、当時の政権は、同集団に対する殺傷、拷問、失踪等を行っていた。この前国家元首は、現・元国家元首の地域会合のためにB国を訪問していたところ、C国当局が発出した引渡し令状にもとづき、B国の現地警察が前国家元首の身柄を拘束した。
A国外務省より、法律顧問として、主権免除を主張して前国家元首の釈放を求める際のメモランダムの作成を頼まれた。あり得る法的議論を、B国及びC国からの予想される反論と共に述べよ。また、他の可能な解決方法を提案せよ。

第2問
ウィーン条約法条約の加入国と非加入国との間での、条約の終了に関する見解の相違の解決
100年前にA国とB国との間で締結された条約は、軍事協力、経済社会的問題の協調、戦時及び自然災害における協力等を謳ったものである。紛争解決には非常に古めかしい手続きが規定されており、また軍事協力に関し「あらゆる軍事力をもって」関
係領域を保全するとした条項が規定されているが、この度A国は、右条約をすでに時代遅れであり、効力を有していないとして、右条約のもとの義務を負わない旨一方的に宣言した。他方、Bは右の総軍事力条項のみを時代遅れであると認めうるとしても、それ以外の部分及び条約そのものは依然効力を有すると主張している。ちなみに、A国はウィーン条約法条約の加入国、Bは非加入国である。
(1)ウィーン条約法条約の条項に照らし、B国の主張を検討せよ。
(2)総軍事力条項が強行法規に反しているとすると、右条項の扱いはどうなるか、その場合の手続きを説明せよ。
(3)上記の場合、条約全体としての効力はどうなるか。
(4)その後の取りうる措置を提案せよ。

第3問
戦時国際法の原則と国内紛争、戦争犯罪及びジェノサイドの構成要件
(事例があって、その状況に関する国際法上の規範との関係を説明するもの。主に、攻撃対象の限定、均衡性の原則、一般市民及び負傷者の保護等)
(また、事例の攻撃行為(明確に示された市民病院に逃げこんだ特定の少数者集団に属するゲリラ兵で小火器を装備していた者ら数十人及びそこに入院していた女性や児童を含む一般市民で多くが右ゲリラのシンパの者ら60人に対して重装備の兵器により
病院ごと攻撃し、ほとんどを死亡させた行為)につき、戦争犯罪及びジェノサイドの主張はいかに可能であるか、またいかなる点で右主張は難しいか。

第4問
国連停戦監視団の法的地位
・設問事例部分
最初の発砲は、A国からものもであったと報じられたが、どの地点から誰により発砲されたかは不明である。これに対し、B国の警備兵は、自衛であるとして発砲しかえした。これがもとで銃撃戦になり、かけつけた国連ミッションに対しても双方は発砲
した。(互いに承認していない隣接する2国の国境線において停戦を監視する国連ミッションが、銃撃戦に巻き込まれ、ミッション要員の負傷及び設備への損害が生じた場合の、国連が取りうる措置)
事後、最初の発砲は、A国の国境近くに駐留する、麻薬の不法移送を行っている組織の「ボディガード」であることが判明した。
・設問本文部分
(1)国連が、A国及びB国に対して取りうる措置(もしくは主張しうる議論?)について述べよ。
(2)(国連ミッション職員の安全に関する設問)
(3)このような事態を防ぐために国連はどのような措置をとるべきであったか。

第5問
国連海洋法条約の主要な成果のうち、次の2つについて論ぜよ。
(1)革新的なアプローチ
(2)21世紀においてもなお重要な問題

経済
*実際には、図や文章があるなど長い問題文の場合もあります。
「エッセイ」
(1)新古典派の投資理論とトービンのQの比較せよ。
(2)複占市場における航空会社の例を用いたゲーム理論の問題
補助金を加えた場合の変化の説明などが要求される
(3)エッジワースボックスの図を見て解く問題。
パレート最適配分の説明せよ。
「小問」
(1)いわゆる45度線分析の問題
(2)
(3)公共財の非排除性と非競争性の説明
(4)
財政政策がきかない,金融政策がきかない
利子に対する投資の感度性,利子に対する貨幣需要の感度性
それらの関係を説明せよ。
交易条件とはなにか。
ある国家の国際収支の・・・
(8)プリンシパル=エージェントモデルを用いて郵便局などの公企業が、利潤最大化ではなく目標の追求をする理由
(9)
(10)与えられている回帰分析の式の改善方法を述べる

経済(英語版)
Essay
1. Explain the policy of the nonresidential investment of Tobin's, and Neoclassical investment theory by Jorgenson
2. Game theory on air plain model (American airline & European airline)
whether subsidy is efficient or not?
3. Edgeworth box, and endowment. Parato efficient allocation
Short Answer (10問)
1. Expenditure function, and multiplier effect
2. Public goods, Difference between Non-excludability, and Non-rivalry
3. Tariffs and Quotas: efficiency?
4. Impact of increase in Government spending on R&D, decrease in Government
spending on Defense on Long-run aggregate supply
5. Terms of Trade
6. sensitivity of output(?) on interest rate when fiscal policy (Monetary
policy) is relatively weak.
7. Balance of Payment
8. Explain why public sector such as post office is not a profit maximizing,
using "Principal and Agent" relationship
9. y=BX+u B is K*N matrix, and u is orthogonal to X, what is the property
of B, and how it can be improved

3.一般試験
「分析問題」4つのプロポーザルに対して、財政支援をする妥当性を検討させる問題。
Project Evaluation
ある基金の信託理事会が、4件のプロジェクト案のなかから1件を選ぶというもの。設問は4頁分。
1頁目:プロジェクト選考の基準が1から7まで記述されている。
2、3頁目:A、B、C、Dの4つの案の記述。
3頁末尾:各案の見積もり
4頁目:プロジェクト対象者と総人口に関する数値的情報(計算をする必要がある数値もある)
第1問:それぞれのプロジェクト案につき、選考すべき理由を示せ。
第2問:それぞれのプロジェクト案につき、選考すべきでない理由を示せ。
第3問:2番目に良いと思われるプロジェクト案を挙げよ。また、翌年に理事会で選考されるようなものに改善するための提案を述べよ。
「要約問題」 開発、特に人材開発における保健と教育への投資の重要性や関係性、およびそれらと(経済などにおける投資)などその他のこととの関係性について。
本文はパラグラフ分け無しの約3頁半。300~400字で要約する。要パラフレイズ。
It was stated in the report thatではじめよ、という指示。感触としては、経社理やその機能委員会・WGなどの政府間会合で、専門家による報告書をイントロする(した)際のプレスリリースのようなものを想定しているのだろうか、という感じ。

International Affairs
「小問(12問のうち10問選択)」
(順不同、思い出した順で)
・ミレニアム開発目標の量的到達目標及び期限を付しているもののうち、4つを挙げ、簡略に論ぜよ。
・平和維持活動において女性の関与が考えられる状況のうち2つについて述べよ。
・2002年に国連加盟国となった国の名前及び首都を答えよ。またこの結果、国連加盟国は何カ国となったか。
・テロリズムに対する戦略の3つの目標について述べよ。
・アフリカ開発において重要な4つの分野について述べよ。
・テレビのグローバル化への影響について2つ以上例を挙げて述べよ。
・以下の4つの国から1つを選び、国内避難民が発生した背景につき簡略に述べよ。
 (コロンビア、ルワンダ、???、東チモール)
・ 事務総長は先般、Preventive Diplomacyに代えてPreventive Actionという概念を打ち出した。Diplomacyの形態をとるもの以外のPreventive Actionの具体的な形を2つ述べよ。
・大量破壊兵器の種類を3つ挙げよ。(ABCを答えるのだと思う)またこれらに関する国際条約のうち1つを挙げ、簡単に説明せよ。
・麻薬の不法輸送や取引を抑制するために、国連の犯罪防止関係及び麻薬統制関係の機関が芥子栽培を抑制するために行っているプロジェクトのタイプのうち2つをあげよ。
・??ユネスコの植物新品種の保護に関する宣言(?)、新品種の保護は、どのような意味で重要か。
・WFPに関する問題。

(一般)
Analytical Thinking
4 projects to chose. Of which 4 project is most suitable to give sustainable
development for minority, cohesive toward the culture, etc.
Summary
300-400 words
About relationship between, economics development, health, and education
12 short international affair
1. What Women can do for peace (in developing country?)
2. the number of the member, and 2 country which involved in the UN in 2002
3. 3 types of the mass destruction and related conventions
4. the meaning of Biosphere, name 2 sites (UNESCO)
5. Internally displaced person
6. UN recently changed its name from "Preventive diplomacy" to "Preventive Action" name 2 types of the action
7. The benefits of having genetically modified(?) crops
8. 3 actions(?) was taken for preventing Terrorism
9. name 4 statement in millennium declaration

4.所感
(法務受験者Bさん)
・設問文の分量が減った。
以前は、問題文だけでだいたい1ページ半から2ページくらいあり、要・不要ないろいろな情報が盛り込まれていた。今回は、いずれの問題も半ページから、1ページ以内だった。
・設問者の問題意識を明確に示す設問となっていた。
以前の問題であれば、何を聞いているのかいまいち見えず、手続き的事項に重きをおいた偏ったものが多かった気がする。今回の問題は、手続きよりも実体規定を、慣習法よりも実定法・条約法を聞いていて、「何について答えよ」というのを明確に示
していた。
・段階的な設問もあった。
 以前の問題傾向は、かならずしもそうでなかったが、今回の設問は、(1)(2)で答えたことにもとづいて、(3)、(4)と展開していくような設定になっていて、伝統的な国際法の試験に沿った設問だったと思う。
・単に知識を問う設問が出たのは、はじめて!
 第5問の国連海洋法条約の設問は、略してあるわけではなく、そのままです(もちろん、冒頭には「2002年は20周年記念で・・・・」というのが書いてありましたが)。
以上、法務の今回の問題は、「相当まとも化」してしまった、というのが、感想です。競争試験経験者でなければ解けないような問題が皆無だったのは、個人的には残念でした。

(経済受験者Cさん)
・各問題ごとに時間配分と配点が記載されており、その点では実に親切な試験だと思いました。
・終わってから気になったのですが、黒インクのみで書くという指示があり,黒のシャーペンで書きましたが。それで問題ないですよね?英語圏でのblack ink やblack pen のニュアンスに詳しくなかったので,あとで妙に気になってしまいました・・・・
・全体的に難問・奇問はなく、標準的な良問が幅広く出されている感じがしました。
                                     以
  上

2002年国連競争試験

2002年試験でだいたいどのような問題が出ているかについて、簡単にまとめました。
 あくまで2002年の様子であり、2004年試験では、変更がありましたので、念のため申し添えます。
1.一般試験
 だいたい、分析力、要約、小問の3分野に分けているようです。
(1)分析力(Analytical thinking)
・ある国における特定地域の健康状況を改善するためにいかなるプランを取るべきか述べよ(地域の特性に関するペーパが添付されたりしているときがあるらしい)。
(2)要約(Summary)
 何かの報告を3分の1にまとめるといった類の問題だそうです。国連の会議に提出されたような報告から選んでいるらしい。
(3)小問(国連に関連する問題)
・Human Genome Projectとは何か?
・メディアの長所と短所
・人道的見地からの軍事介入をすることの善悪
・貧困問題への取り組みの例
・文明の対話の必要性
・平和維持に関する安保理と事務総長の役割の違い
・国際組織犯罪
・国連の役割とはなにか?
・持続可能な開発とは何か?
2.専門試験
(1)経済
 エッセイと小問に分かれるらしい。
(イ)エッセイの例
・経済成長理論(ハロッド・ドーマー、新古典派、内成長モデル等)について数式を用い、比較を行え。
・開発途上国における零細プロジェクトの信用貸付システムの問題点を述べよ(グラミン銀行の例等)
・金融政策の経済的インパクトの例
(ロ)小問の例
・IS-LM曲線についての数式を解け。
・コブ・ダグラス型生産関数の数式を解け。
・一定の市場条件の下で、価格、販売数等を求めよ。
・時系列モデルの数式を解け。
・(新古典派成長モデルについての説明を示した上で)この説明を評価せよ。
・国の負債の次世代への影響について述べよ
・ラーナー対称について説明せよ。
(2)法律(よく構成がわかりません)
・2国間の関税に関する貿易紛争に関し、想定される当事国による主張と地域間協定の修正提案
・国際河川の汚染への賠償問題
・突発的な軍事紛争が起きた場合に関し、想定される当事国の主張と安保理の決議のあり方
・条約の第3者への効力
4.対策について
 いろいろ聴取した結果、私なりに考えた対策は次のとおりです。
(1)一般試験
 Basic Fact of UN(だったと思う)の最新版、ミレニアム宣言及びミレニアム宣言のフォローアップに関係する事務総長報告とかをざっと読んでみる。
 短時間で要約する練習をする(せめて2,3回はやってみるべきでしょう)。
(2)専門試験(経済)
 法律は、門外漢なので、省略します。
 経済に関していえば、スタンダードな問題が出ているようです。手垢のついた経済学の教科書を読み直せば、だいたいの問題に答えられるような気がします。

2001年 国連競争試験

2001年 国連競争試験 P-3 広報区分(この頃は、P-3がありました。)
 広報の試験にはサブカテゴリーがあり、(1)広報、(2)プリントメディア、(3)オーディオ・ビジュアル・メディアの3分野に分かれ、ひとつ自分の専門カテゴリーを選択します。テーマは3つとも共通で、今回はスイスのダボスで行なわれたWorld Economic Forum で事務総長が発表した国連と産業界の連帯(UN-Business Alliance)についてのものでした。(20ページあまりの参考資料(事務総長の声明、国際商工会議所会頭の声明、ファクト・シートなど)付属。)
設問数:いずれのカテゴリーも3問
設問内容(オーディオ・ビジュアル):
国連と産業界の連帯について、5分程度のプロモーション・ビデオを作成するという設定
設問1:このビデオで伝えるべきメッセージは?
設問2:このビデオの構成表を書きなさい。映像ソース(ロケ、資料映像、イメージ画像など)も明記すること。
設問3:でき上がったビデオをどのように配布・放送するか、ディストリビューション・プランを書きなさい。
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2001年 国連競争試験 P-2 政務
大問3つ:
(1)イスラエル・パレスチナ紛争におけるイシューを論じ、右問題において国連が果たしてきた役割につきコメント。
(2)紛争予防に関し、Preventive Diplomacy, Peace-keeping, Peace-buildingの違いを例を挙げながら論じる。
(3)PKOの成功例と不成功例につき例を挙げつつ、成功に繋がる要素を論ぜよ。
小問(以下は全てではありません)
(1)国連による制裁が効果的でないとの批判があるなか、制裁実施にあたり何を考慮すべきか。
(2)とある国より選挙支援要請を受けた場合国連が右決定において考慮すべき点。
(3)各国の民主化に影響する要素。
(4)多国籍企業が進出先国家に与える政治的影響。
(5)環境関連条約を押し進める上の政治的障害。(6)グルジア、ブルンジ、サイプラス、グアテマラ、あともう一つのうちの2地域の政治的現状と国連の関与を述べよ
(以下不明)
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2001年国連競争試験 筆記試験 P-2 総務区分
1.論文 (3題出題)
(1)人事管理の最近の傾向について論ぜよ
(2)調達のための行動計画
(3)電子メールの導入に関するガイドラインを作成せよ。
2.小論文 (10文出題)
(1)アソシエート・エキスパートの継続雇用についての提案
(2)管理者研修の重要性
(3)次の予算に関する4項目のうち3つについて、説明せよ。
a. ゼロ・予算(策定)
b. プログラム予算(策定)
c. パフォーマンス予算(策定)
d. 漸増・漸減予算(策定)
(4)利害衝突の管理方法について説明し、営利的団体と、非営利適団体で、管理方法がどのように異なるか論ぜよ。

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国連競争試験 P-2 一般試験(4時間)
1.分析思考
Country Xについての情報(1page)
Country XのRegion Y波熱帯雨林地帯であり、そこには昔からその一体を仕切っている原住民 (Group A)が住んでいます。彼等は、狩猟や漁業を営み質素に暮らしています。その地帯に流れている川は、彼等の移動手段に使われますが、雨季の時には、洪水、乾季の時には川の水がかれてしまうという状況です。彼等の健康状態は好ましくなく、衛生状態も完備されていないため、国連専門機関は、予防接種をGroup Aに勧めることが重要だと考えています。
Group Bは、山岳地で生息していましたが、政府の方針でRegion Yの土地が与えられたため、移住してきました。原住民は、その政府の方針に納得がいかず、Group Bと政府に対して不満が募っています。
このRegion Yには、外資系企業が進出してきました。この企業の進出は、Group AとBの食生活や環境の変化をもたらしています。
3つのPlans
Plan1. 外資系企業の設備を活用する。
外資系企業は、Region Yに関係しており、彼等の設備は最先端であり、国連専門機関のPlanを遂行するのに好ましい。但し、彼等の設備は、雨季には使用不可になる。
Plan 2. 国連専門機関の職員が、Region Yに駐在し、Group AとBの健康について管理する。彼等の設備は、極力Region Yからの資源を活用し、そのぶんかに溶け込むことが趣旨。駐在職員は、その土地の人々に基本知識を教え、彼等が去ったあとでも、対応できるようにしていく。雨季の時の洪水については、要注意。
Plan3. 政府の施設を活用する。
政府の施設は、協力がえられれば、無料で使える。但し、政府職員は、Region Yに対しての興味が薄く、また、Group Bに対して土地を与える政策を取ったので、Group Aとの関係は好ましくない。また、政府施設は、Region Yから離れているため、緊急時の対処が問題。
設問
(1)国際機関にとって望ましい結果5項目を論ぜよ。
(2)3プランを選ぶ中で国際機関が考慮すべき5ポイントを論ぜよ。
(3)各プランの利点を2つずつ論ぜよ
2.3ページ渡る文章を3分の1に要約 (300-400Words)
グローバリゼーションに関する専門家グループの報告文を、上司に報告する形式
3.小論文問題 (12問中10問に答える)
(1)国際社会に貢献する組織として、貧困緩和について、どんな政策が取られていますか?
(2)Human Genome Projectについてはいろいろと問題点が挙げられていますが、そのうちの3つについて説明しなさい。
(3)現在の世界(the connected world)におけるメディアについての長所と短所について3つずつ書け。
(4)紛争時の子供の権利が侵されていることは問題になっていますが、それについて説明しなさい。
(5)世界を脅かす5つの健康問題をあげなさい。
(6)貧困問題に関し国際社会が行ってきている努力5つ。
(7)国際組織犯罪について。
(8)国際的平和維持の分野における安保理と事務総長室の役割の違いを比較し論ぜよ。
(9)「文明の対話」について論じ、なぞ重要かその理由。
 (以下不明)

国連競争試験 2000年 人道(概要)

国連競争試験 2000年 人道(概要)

2000年 筆記試験 Humanitarian Affairs(人道) P-2
専門試験
大論文3問。
各2ページ程の英文レポートを読み、それに対する自分の見解を述べるという形式。
質問内容はAdvocacy, Policy Development及び Coordination of Humanitarian Assistanceの分野から。(つまりOCHAの マンデートにあたる分野からの出題)
具体的には以下のような質問内容であった。
(1)度重なる飢餓にみまわれている某国Xにたいする大々的な支援を行うにあたり資金調達が早急に必要である。先進国諸国は幾度となく行われる支援要請にうんざりし、援助疲れしている様相である。このような状況下、画期的なfundraising(資金調達)の戦略を述べよ。
(2)近年、人道支援にかかわる者にたいする攻撃が増えている。人道支援に携わる者の安全状況を改善するために国連が行うべく対策案を述べよ。
(3)某国Xでcivil war があり、大量の避難民が隣国Yに出国している。(国XとYに関する色々な現状況に関するデータが与えられる。)国連の人道支援要員として他の国連機関及びNGOと連携した緊急支援のcontingency planをつくりなさい。

先輩からのアドヴァイス(1) 田代空氏

先輩からのアドヴァイス(1)
国際人事委員会委員
田代空氏
インタビュー報告
<国際機関で生き残っていくための心構え>
 1998年11月6日14時より田代空氏にお話を伺う機会をいただいた。参加者は98年度JPO5名(高嶋裕美子・森山毅・榛澤祥子・山口靖世・徳永裕美子)。インタビューは和やかな雰囲気の中、これからJPOとして国際機関で働き始める上での心構えを中心に、田代氏の国連機関における経験を織りまぜながら、3時間にわたり行われた。
 
【田代空氏プロフィール】
現ICSC(国際人事委員会)委員
1974~79年 FAO人事部(人事課長、JPO/APOが始まったばかりの頃)
1968~70年 タンザニア政府職員
現72才で、38才の時、米国留学
 
【総論】
自己主張。先入観を持たず自分で判断する。自分でどうやって生き延びていくのかを探し出す。TPOに合わせて自分の手足をどう動かしていくのかが重要。
UN内の理想と現実のギャップ。UN内の自己中心主義がはびこる世界。
 
【現状】
 日本は国連に最大のコミットメントをしている国(16%拠出金負担)であるにもかかわらず、日本人職員は全体の2.5%程である。目標は8%にすることである。なぜ、日本人職員が少ないかというと、海外でやっていける人の層が薄いため、国内での需要に吸収されてしまい、国連になかなか人材が集まらない。
 
【日本人JPOの印象】
・ まじめで、言われた仕事はきちんとこなす。
・ 自己主張が足りない。自己主張の仕方がへた。
・ ひ弱である。
 
【その対策とは?】
・アングロサクソン・アメリカ人といった国連機関でのmajorityにない発想をする。
例)FAOはtechnical agencyなのに、職員の専門性のレベルが低かった。そこで、人材開発のためのrefresher programを発案した。知識・技術は古くなる。しかし、地位は高くなる。その地位に安住し、知識・技術の焼き直しをするという発想はなかった。
 
・どのようにして新しい発想をするのか。→誰かにおそわる。
胸襟を開いて話せる人をなるべく早く見つける。
例え、Director Generalにでも臆せず手紙を書く。
 
・Don't be too serious. お茶目にいこう。大胆に気楽に。
日本人は遠慮しすぎる。できるだけいろんな人と会うこと。待っているだけでなく、自分から能動的に働きかける。
 
・リラックスできる方法を持つこと。何かに熱中し、体を動かす。
交際範囲を広くもつ。貰ったものは、自分への投資と考え、現地へ全部返すつもりで。
 例)イタリア語を習う。イタリアを旅行する。イタリアンレストラン100軒踏破。
週に一度の深酒で体調安定。写真撮影。
 
・健康第一。
 自分は孤独であると思いこむこと(孤独感)が一番恐い。孤独感に陥らないようにするには、自分から動く。ノイズもおこるが、数多くやらないとあたらない。
 
【質問コーナー】
Q: 上司とうまくいかない時の対処は?
A: その上司の特徴(長所・短所)を早くつかむこと。どんな人でも短所や弱点はあるのだから、そこを攻撃することは避けなくてはいけない。逆にそういった弱点をカバーしてあげる。周りの人に相談する。それでもうまくいかない場合は、HQの人事担当者にHuman relation appealを出しなさい。
 
Q: 進んで調査等の為、出張にでたいが、予算の問題がある。
A: 一度ここを見てみたい、そこを勉強してみたい、この会議に出てみたいと掛け合ってみては?予算を持つから勤務扱いにして下さいと相談してみる。
 
Q: 日本人はプレゼンテーションが下手というが。
A: 発表のタイミング。何か他の人がやっていないようなこと。プレゼンテーションの技術が今一つでも内容で勝負する。
 
Q: JPOとしてキャリアをはじめるにあたって、フィールドでスタートするか、
HQがいいか。
A: 数カ月は本部で、そのあと一年以上フィールド勤務するというのが理想でしょう(hardship areaに行くと手当がつく。)
 
Q: 勤務評価について
A: Performance appraisalは半年か一年ごとに行われる。事前にsupervisorと「私はこういうことをやりたい」とperformance契約をし、その達成度をはかる。もし、そのようなシステムになっていなければ、本部人事と相談する。日本人は、一生懸命やるというイメージは定着しているが、initiativeをとる、creativeであるということでは弱い。
 
Q: 時代の変化の中で、国際機関でやっていける国際人を日本でどう育成していくのか。
A: 商社・大手銀行はワースト。海外勤務は国内勤務と大して変わらないのに、別扱いするのは古い。日本の海外における純資産は最高。日本の経済的なプレゼンスは当分続くであろうから、長期的にみれば、人の流れというのは大分自由になるのではないか。
 
Q: UNの福利厚生について。
A: 制度は整っている。例えば、HQには保育所もあり、子供を出産しても十分やっていける職場環境である。女性の正規採用はこれから増加していくだろう。
 
Q: 人事の人間として、どういう人は採用したくないか。
A: 自分を売り込む時にうそを言う人。うそではないけど、職場における自分の役割・アイデンティティがどれくらいかわかってない人。へんな所で自分を売り込む人。
 
Q: 上司に対して不満がある場合は?
A: 中間管理職の能力の問題。technical agencyでは特に古くなった知識/技術に気がつかない。Director以上はなかりpolitical(地域・人種)な理由で採用されるが、そういう人はせいぜい2~3年で、長くはいない。Be patient.
 
Q: JPOの2年後、他の国際機関に異動するのは難しいか。
A: いつも同じ内容のCVを出すのではなく、一つのvacancyに対して、そのvacancyに合ったCVを書く。そのvacancyに自分がどれだけフィットしているのか。rewriteする手間を惜しんではいけない。〆切は2~3日過ぎていても通常受理してもらえる。採用まで、機関内部からの応募だと3~4ヶ月、外部からだと1年かかることもある。
 
(文責:徳永・森山・山口)

お気楽極楽食道楽ぐうたら国際公務員あきき

お気楽極楽食道楽ぐうたら国際公務員あきき
国連人口基金(UNFPA)
高井明子
 
第1回 情熱醸成編
 後天性免疫不全症候群(AIDS)という言葉をはじめて耳にしたのがいつかよく覚えていませんが、80年代の半ば、高校の保健体育の授業で取り上げられたことはうっすらと覚えています。なんとなく怖いという病気に対して負のイメージが残っていました。
 日本で普通に大学に進学しましたが、もともとアメリカなどで大学生活を送りたかったので、大学の1年次で早々にアメリカの大学へ進学することにし、夏休みを利用して、大学編入学の準備のためにアメリカを訪れました。英語はというと、中・高校時代、頑張って取り組んでいましたので、日常会話などには支障はありませんでした。
 その際、ちょっとした成り行きで、ボストンの『ボストンリビングセンター』を訪れました。同センターでは、HIV感染者・エイズ患者のサポートを行っており、エイズのことを本や新聞で読んだことはあったものの、実際に感染者の方々に会うのは初めだった私にとっては、大変印象的でした。当時の大都市におけるHIV感染者の置かれた状況について説明を受け、その人たちに提供されているサービス(昼食サービス、グループワーク、カウンセリング・セッション等)を見学し、いろいろと考えさせられることがありました。特に、病気にかかる、という人間にとって最も脆弱になる場面で、HIV/AIDSについては、他の病気と異なり、周囲からからサポートを受けにくいということを知り、やるせない気持ちになり、また、いったい日本ではどうなっているのだろうか?と考えました。
 無事アイオワのグリネル大学への進学が叶った後、長い夏休みの一時帰国を利用して、感染者・患者のサポート、電話相談、啓発活動などを行っているエイズ関連の団体でボランティアをしました。ほとんど飛び込みであったにもかかわらず快く受け入れてくださいました。小さな事務所でスタッフの補助ボランティアとしてひと夏働いての感想は「熱意がある。しかし、お金と人が足りない」ということでした。
 アイオワの片田舎で大学生活を送りながら、私は、HIV/AIDSにずっとかかわっていくのだろう、と漠然と考えていました。ですので、大学卒業後、アメリカで公衆衛生の大学院に進学することも考えました。しかしながら、進学前に就業経験があったほうがいいというアドバイスもあり、とりあえず日本に帰国し、国際エイズ会議の事務局での仕事を経て、「ぷれいす東京」というエイズ関連のCBO(Community Based Organization)で働くことになりました。
 また、このような仕事を通じて、日本国内のエイズだけでなく、感染がより広がっている開発途上国におけるエイズの状況を知り、感染者・患者のサポート、感染拡大の予防にかかわりたい、と改めて考えていたところに、たまたま友人から東京大学大学院医学系研究科国際保健学専攻の修士課程の次年度学生募集のことを聞き、そこに進学することにしました。この学科を選んだのは、留学生を念頭に置いているため英語重視の試験を実施しており、私にとって比較優位があることが主な理由でした。この時点では、NGOもしくは草の根レベルでの活動に焦点を絞っていたように記憶しています。
 大学院に通いながら、ぷれいす東京で仕事をしていました。ぷれいす東京では、直接患者・感染者(当時はPWA( People Living with AIDS)といった)のサポートをするリビングセンターで仕事をしました。主な活動は、週2回の昼食サービス、グループミーティング、外から講師を招いての新しい治療法や社会サービスに関する勉強会、外に出ての食事会、病院の付き添いなど直接サポートをする人のコーディネートなどでした。女性の感染者の強い要望を受けて、彼女たちが勉強会を兼ねた泊りがけ研修を開くお手伝いをしたり、ニューズレターを発行したり、規模をさほど大きくなかったものの内容的には充実したものでした。また、助成金の申請、受領、報告の準備も、そのときは大変でしたが、現在、国連人口基金で仕事をする上で、いいトレーニングになりました。
治療に関しては、抗HIV薬のカクテル療法の治験がようやく始まったという段階で、医療従事者でないことに無力さを感じる場面も多々ありました。また、私よりかなり経験のあるもう一人のスタッフと二人で、さらに経験のある年長のボランティアスタッフたちの意見を取りまとめながら、リビングセンターを運営していくのには苦労もありましたが、当時の日本のエイズを取り巻く状況を直に体験でき貴重な経験でした。
 「アカデミアと市民活動の架け橋となりたい」と二次試験の面接で大見得を切って進学した大学院の方といえば、まだまだ学科を設置して間もなく、授業はあまり満足のいくものではありませんでしたが、たまたま、タイでのPWAに対する差別に関する調査や、エイズ国際会議を通じて知り合った国際NGOのスタッフとの共同研究に恵まれ、日本以外でもエイズに関する仕事についても触れる機会をもつことができました。
大学院では、国際協力のためのプロジェクト及びプログラム管理に関する手法を学び、これを日本のエイズNGOでも是非活用するべきだ、と考え、エイズ関連NGOで働く仲間と相談し、国際協力で利用しているプロジェクト管理研修モジュールに手を加え、国内のエイズ問題に取り組むNGOの研修会で実施したこともありました。どれほど参加者にとって役に立ったのかはよくわからないのですが、当事者を含む参加者による問題分析・現状分析などを系統立てて行うことが少ないエイズNGOの運営に当たって、このような管理ツールやディスカッションツールは、有効であることがよく分かりました。
 サブスタンスとマネジメントなど様々な側面から日本のエイズの問題に関わることができ、NGO関係者、医療従事者、行政関係者などとネットワークも広がっていく中で、この分野に、また違った面から取り組んでみたいという思いが強まってきました。国内の援助機関や国際機関で、国際協力という文脈で取り組めないか、そして、国際協力で経験を積んで、いつか日本でのエイズ関連の仕事に戻りたい。20代後半に差しかかった頃、そんなことを考えていました。


第2回 JPO応募編
 JPOという制度があることを知ったのは、アメリカへの学部留学中に「国際公務員を目指す留学と就職」という本を通してでした。大学院へ進学することを考えていたので、私が興味のあった分野の大学院教育に関してかなりよく書いてある本だと思い、暇なときに目を通したりしていました。
 結局、日本国内の大学院に進学しました。大学院進学後間もなく、ユニセフ東京事務所に勤務するお二人から国際機関で働くことに関しお話を伺う機会がありました。お二人とは、アイオワで3年間通った小さな大学(グリネル大学)の数少ない日本人の大先輩Aさんと私が通う大学院の非常勤講師として出講されていたBさんです。「草の根から社会を変えていく」ことばかり考えていた私としては、「はあ、そういう仕事もいいかもね」くらいの感覚でしたが、Bさんは、「是非JPOに応募してユニセフで仕事をしてください、あなたのような方に是非来ていただきたい。」と力説してくださいました。今にして思えば、社交辞令だとしても、暖かい言葉をかけていただいたのに、「あ、はい、わかりました」程度の反応だったと記憶しています。
 まさか8年後、Bさんと、NYの国連日本人職員会幹事会でご一緒することになるとは思いませんでした。また、一月ほど前(2004年9月)、あるパーティーでBさんにお会いしたとき、彼は、日本の大学教授(元UNDP職員)に「あききさんには是非ユニセフに来てもらいたいと言っているんですよ」とおっしゃってくださいました。社交辞令も8年越しとなると、なんとなくうれしいものです。
なお、Aさんは、現在では私の大ボスで、仲良くさせていただいています。
 そういう調子でしたが、大学院の設置趣旨に、「国際公務員を目指す云々」というのがあり、なんとなく「英語力のある人は受けてみたら」という雰囲気だったこともあり、大学院2年次の初め、JPO試験に応募しました。書類審査に合格しましたが、語学試験の日程が、国際会議の日程と重なってしまっていたので、受験をあきらめました(かつては、国連英検による一回の審査でした。)。そのときは、国連のハビタットか、バンクーバーのエイズ会議かいずれかでしたか、よく覚えていません。結局、翌年、98年の春、大学院博士課程進学直後、改めてJPOに応募し、書類審査、語学試験を無事に合格し、いざ面接となりました。
 面接には、まともな就職活動をしたこともなかったのでリクルートスーツも持っておらず、私が持っている中で一番「よそいき」と思われる服装で出向きました(ちなみにジャケットにパンツです。)。先日も懇意にしている日本人の元国連職員の友人から「あのさ、出勤初日普通だったら、日本人は大体リクルートスーツとかでくるじゃない、でもあききは違ったのよね。とってもラフな格好だった。」といわれました(「私としては、一張羅だったのよ」と言っておきましたが。)。私の仕事は、渉外担当でもなく特に部外の人に会うことがほとんどないので、かなりカジュアルな格好で出勤しています。
 面接の時間を確認して、それに間に合うようにと、タクシーで面接会場に向かいましたが、渋滞に巻き込まれ、しかも、文書を確認したら「面接時間の20分前に集合してください。」と書いてあるのに初めて気がつきました。その後のことは、あまりよく覚えていないのですが、冷や汗をかきながら、外務省国際機関人事センターに到着すると、「あー、たかいさん、お待ちしていました、さあ行きましょう。」と、案内の方が小走りで迷路のような廊下を通り、エレベーターに乗って、さらにまた迷路のような廊下を通り(これはその当時の印象)面接会場まで案内してくれました。結局遅刻したわけですが、一息つく間もなく、面接が開始されました。
 
 面接室に入室すると、女性一人を含む3人の面接官の方がいました。最初の質問が「何かスポーツをやっていますか。」というものでした。「ありゃりゃ、もうだめなのかな?遅刻したし。」と思いつつも、当時趣味でやっていた、草ラグビーの話をすると面接官の方が非常に驚かれていたようでした。「フォワードですか?」「プロップです」「怪我をしたりしませんか」「首を痛めたりすることがあります」「スクラム大変そうですよねえ」(何の話をしてるんだ!)。後々から考えると、飛び込んできた私の緊張を解くための質問だったと思います。
 面接での質問内容はあまりよく覚えていないのですが、最後のほうの質問に「JPO終了後国連で仕事をしていきたいと思いますか?」という内容のものがありました。それに対しての私の答えは、「今の時点では、わたしが国連でどのような貢献をできるのかがよくわからない、JPOの期間を通して、私の能力によってなにか貢献ができるようであれば、できれば、引き続き国連で仕事をしていきたいと思います。しかしながら、今の時点は、私のような人材が必要かどうかもわからないのでよくわかりません。」といった内容が曖昧で、しかも国連で生き残っていこうという強い意志が感じられない返答をしました。
 実は、これでもまだ、面接用の「よそ行き」の発言でした。本音は、国連で2,3年経験を積んで、スキルを磨き、ネットワークを作って、NGOに戻る、というものでした。
 これに対し、面接官から、やさしく「あのね、あなたね、こういうときには,『どんなことがあってもがんばって残るように努力します。』というぐらいの勢いで来てもらわないと。」といった内容のコメントを丁寧にしてくださいました(多分、これが、Japanese interviewのルールなのでしょう。)。
 面接の手ごたえから、おそらく不合格だろう、遅刻したし、まあいいか、他にも仕事はあるだろう、と思っていましたので、しばらくして補欠合格の通知をいただき、さらに何ヶ月か後、繰り上げ合格の通知を頂いたときは、うれしいと思う一方、「あれ、本当にいいのかしら?」という思いもありました。 

第3回 派遣先決定編
 前回も最後のほうで書きましたが、遅刻して面接を受けたJPO試験の結果は補欠合格、その後1999年の春先に繰り上げ合格の通知を受け取りました。
とりあえず、繰り上げ合格がないものとして、就職活動をし、1999年7月から3ヶ月東北ブラジルのJICAの東北ブラジル公衆衛生プロジェクトに短期専門家として派遣されることになり、1ヶ月間のポルトガル語の研修に通いつつ、終末期を迎えて入院していた母方の祖母の付き添いをするために、電車で2時間半ほど離れた神奈川の海辺の町まで1週間に2回ほど通ったりしていた時期でした。
 ですので、国際機関で働くということがピンとこなかったのですが、選択肢の一つとしてはやはりキープしておきたかったので、派遣の意思表示を秋まで待ってもらい、派遣を年度末ギリギリまで先延ばしにしてもらうよう、外務省国際機関人事センターの方に相談しました。すると、あっさりと了解してくれました。
 ブラジルのプロジェクトでの私の主な業務は健康教育の教材作りということで、高血圧予防のパンフレットのドラフトを準備したり、プロジェクト終了評価のための資料作りなどをしているうちに3ヶ月があっという間に過ぎていきました。5年間のプロジェクトの最終年ということもあって、店じまいモードでしたが、志が高い専門家の方々との出会いもあり、いろいろな意味でいい勉強になりましたし、小学校の卒業時に「ブラジルに行きたい。」とどこかに書いたことが現実のものとなって、楽しむことができました。愛読書の一つであった「悲しき熱帯」のほんの一隅を見ることができたような気がします。
 ブラジルから帰国して、研究所での仕事を始めたころ、プロジェクト終了時評価でブラジルに来ていたJICA職員の方からのアドバイスもあり申し込んだJICAのリプロダクティブ・ヘルス専門家養成研修に参加する機会がありました。これは、国内での専門家の方による研修(座学)と海外での研修の2本立てで、JICAからジョイセフ(家族計画国際協力財団)が委託されてプログラムを作っているものでした。海外研修はベトナムで、NGOであるジョイセフがJICAとの協力でゲアン省で展開しているリプロダクティブヘルスプロジェクトの見学、ベトナム女性連合やUNFPAベトナム事務所への訪問などが含まれていました。ジョイセフのプロジェクトに関しては、ODAにおけるNGOとの連携という私が非常に興味をもっている分野の実際の活動の様子を垣間見ることができた良い経験でした。
 ブラジルから帰国後の研究員の仕事の契約が短期間で切れることもあり、また、ある程度の期間フィールドに出て仕事をしたいと考えていましたので、外務省国際機関人事センターに連絡をとり、春先から保留にしていたJPOの派遣の可能性を相談しました。とにかくエイズに関わる業務ができればいいので、派遣先希望は、UNAIDS、UNFPA、UNICEFを挙げていました。UNAIDSは受け入れ態勢が整っていないとの理由から派遣を断念し、UNFPAかUNICEFのどちらか、ということになりました。なお、UNAIDSへは、次年度からJPOが派遣されることになったようです。人事センターからは、UNICEFに派遣される可能性のある人で、国際機関に関する知識が十分でなさそうな人には、UNICEF東京事務所の方と色々相談に乗ってもらうことが通例だったそうで、アポをとって相談しに行ってくださいという指導を受けました(最近はこのようなことはあまりやっていないようですが。)。
 ユニセフがエイズでどのようなことをやっているのかはよくわかりませんでしたが、とりあえず、連絡をしようと思っているところへ人事センターから連絡があり、「UNFPAはどうですか?」とのこと。それに対する私の返事は「エイズに関わる仕事であれば、どこでもいいですよ。」でした。しばらくして、アパートにファックス用紙が束になって届いていました。UNFPAの4ポストの中からひとつ選んでくださいとのことでした。
 リストには、UNFPAの地域技術協力事務所の3ポスト(バンコク、カトマンズ、ハラレ)とニューヨークの1ポストでした。ニューヨークのポストが提示されるのは意外でした。UNFPAには地域技術協力事務所(CST=Country Technical Services Team)というのが世界中9地域に設置されていて、各国事務所からのニーズに合わせて各分野(人口統計、リプロダクティブヘルス、アドボカシー、ロジスティックスマネージメント、現在ではそれに加えてエイズ)の技術協力をする専門家を派遣しています。技術専門家はだいたいL-5(概ね課長相当)そしてディレクターがD-1(概ね部次長相当)です。ファックスの受領確認の電話をすると、人事センターの担当官は、「CSTには出張旅費やプログラムの予算がないので、プロジェクトの評価・モニタリングのミッションにあなたが行くために十分な資金がないかもしれない」と教えてくださいました。と、今ここに書いている時点ではそれがどういうことか理解して書いているのですが、その話を聞いたその場では、「ああ、そうですか。」などと答えたと思いますが、実際は何のことだかよく理解していませんでした。当時は、各機関とも財政危機に直面していたようです。
 かつてUNFPAバンコクのCSTでFASIDインターンシップ・プログラムに参加していた親友に相談し、それがどういうことなのか説明してもらいました。彼女の場合は上司のサポートや、インターンシップからのサポートもあり、派遣中の半年間に何回か、上司とともにプロジェクト評価ミッションなどを経験していたようでした。これでも予算があまりないということで、「うーーんどうだろう、CSTは。それに他の人はL-5以上の人だから、あなたは小間使いになると思う。」とのアドバイスでした。
 私としては、国連で長く勤めようという意識がなかったので、それだったら、本部に行って、UNFPAという国際機関がどのように回っているかを見てこよう、ということと、何度か訪れたことのあるニューヨークが非常に気に入っていたので一度暮らしてみたかったという二つの理由から、ニューヨークを選ぶことにしました。また、ニューヨークのJPOポストの上司の1人は、偶然にも相談した親友のバンコク時代の上司で、「彼女は厳しいけれど、彼女に鍛えられたら、どこでもやっていける。きちんとしているし、ぐうたらなあなたにはいいと思うよ。」というアドバイスもありました。
 こう書くと、決定までに時間がかかったようですが、実は、ポストの提示があり、ファックスの受領確認の電話をした数時間後、その日のうちに、「ニューヨークでお願いします。」と人事センターの担当官に電話口でお伝えしたのでした。人事センターの担当官は、「ニューヨークですか?」と言った後、しばらく絶句気味の間を置いて、「もう少し考えて、明日こちらに電話をください。」とのことでした。その担当官の同僚が、「あいつにニューヨークに行かせるのは遊びに行かせるようなものだ。もう一度よく考えてもらえ。」と電話口の後ろで叫んでいたそうです。
 翌朝、ぐうたらな私が珍しく朝一に「一晩よく考えてみましたが(本当はあんまり考えてないけど)、やっぱりニューヨークでお願いします。」と連絡し、私のニューヨーク派遣の手続が開始されることになりました。

第4回 マイ・ロスト・シティー編
 ニューヨーク行きが決定し、2000年の3月26日に前職を退職し、28日ごろに出発して30日からUNFPA本部で勤務をすることになりました。  新しい仕事の業務内容もよくわからず、ちょっと心配でしたが、アイオワのグリネル大学時代に仲良かった友達二人が大学院を修了し時を同じくしてニューヨークに引っ越してくることがわかり、古い友達に会えるのが楽しみ、と思いながらニューヨークにやってきました。
 さて、初めての出勤日、UNFPAへと向かいましたが、UNFPAの建物のなかで、一体どこに行ったらいいのかもわかりませんでした。JPOのポストが提示されたときに受け取った非常に簡単な職務記述書に上司の名前が書いてありましたが、それだけをたよりに、とにかくUNFPAの建物に入りました。結局二人の上司のうち、一人は不在、もう一人は、「あれ来たの?いつ来るか知らなかったわ」という対応でした。しかもその上司のアシスタントとおぼしき人は、「まったく、新しい人がくると、仕事が増えて大変だわ」と、言わんばかりでした(のちのちこのアシスタントがあまりに仕事をしないため、私が秘書的仕事を沢山させられることになってしまいました。)。ただ、人事部のサポートスタッフのおばちゃんが非常に親切にしてくれて、それに救われました(のちのちこのアシスタントが、私の重要な仕事のカウンターパートになりました。)。
 私の勤務先である技術支援部はUNFPAのプログラム全体への技術面での支援をするところです。プログラム実施国に駐在するプログラム担当官は、ジェンダー、HIV/AIDS、人口開発などすべてに専門家であることは不可能で、プログラムの策定、実施、評価に当たって、専門的見地から助言を行うのが、技術支援部の仕事です。そのためか、経験豊富な専門家が中心で、JPOの受け入れはほとんどなく、私は、部内の二つの別々な課に所属する二人の上司の仕事を50%ずつ手伝うという中途半端な状況に置かれていました。このため、私自身、何をしていいのか、混乱していました(しばらくして、インド人の上司の下で100%働くことになりましたが。)。
 実際のところ何をしていいのかわからず、また元来ぐうたらな私は、部内の会議にでたり、秘書的な仕事を手伝ったり、サポートスタッフの方々とのくだらない意見交換(井戸端会議)に花を咲かせたり、というような感じでだらだら日々を過ごしていました。上司が二人いるため命令は錯綜するし、他の部が相手にしてくれなかったりするし、エイズ関わる組織のコミットメントの低さが日常の業務にかなり反映されており、わたしのモチベーションを下げる材料には事欠きませんでした。
 だらだらとした仕事を続けていて、「これでいいのか。。。」という気持ちもありましたが、イーストビレッジ、チャイナタウン、グリニッジビレッジ、はてはクイーンズと、食べ物大好きな私は、主に国連外の友人のネットワークを広げながら、レストランの開拓に脇目も振らず邁進しました。つまり、ゲームにはまる子どものように、NYにはまり、現実逃避をしていたのでした。
 何もしないまま、JPOの任期を終え、日本に帰るのかしら。2、3年後の未来に感じるであろう喪失感が実感されるようでした。でもまあ、どこかNGOで仕事でも探せるかな、などと思っているうちに月日がどんどん過ぎていきました。
 私の(唯一の)上司となったのはインド人女性で、仕事をキチッとする有能な方でした。前にも書いた私の親友がインターンをしていた時のスーパーバイザーです。非常に細かくて、締め切りに厳しい人です。インドでは地域の保健所長をしていて、その間に、公衆衛生の修士号、そして博士号をそれぞれ、イギリスとアメリカでとり、その後国連に転身したという面白い経歴をもつ、専門がリプロダクティブヘルスのメディカルドクターです。エイズに関しては、性行為感染症のひとつとしての知識は十分にあったとは思いますが、エイズプログラムの立て方や、マネジメントに関しては、まったくの素人といっていいほど、バックグラウンドがありませんでした。しかしながら経歴からもわかるとおり、非常に勉強熱心な人で、知らないことは調べて自分の知識にする、という当たり前といえば、当たり前ですが、ついつい目立つ仕事ばかりしたがる多くの国連職員が忘れがちなことを地道にできるタイプの人でした。
 国連でも少し長い目でみれば、目立つ仕事をしたがる人よりも、結局地道に結果を出していく人が評価されるということを彼女が身をもって示してくれたことは、私にとって最良のオリエンテーションだったと思います。「仕事は地道にやっていれば、見ている人はそれをみていて、きちんと評価してくれる。」というのが彼女の考えで、そういう意味ではある種日本人の価値観にかなり似たものがありました。目立ちたがりの上司の下でJPOをしたら、マイペースの私でも、ついつい目立つ仕事ばかりやりたがる国際公務員になってしまっていたかもしれません。
 着任して数ヶ月たったころ、UNFPA内部でも組織全体のエイズに関わる戦略を策定しようということになり、まず第一回目のミーティングを今はなきワールドトレードセンターで開きました。方向性としては、HIV感染の予防に重点をおこうということで、戦略策定を詰めていくことになりました。
 2001年6月に国連エイズ総会が開催されることになっており、国連全体で、「エイズはお金になる」・・・じゃなかった、「エイズは重要」という意識が一層高まりつつある時期で、部署としての仕事が増えつつありました。実際にUNAIDSからの資金を活用し、CSTのアドバイザーを雇用したり、NGOと共同でプログラム用のツールを作成したりと、だんだんと仕事が増えてきました。赴任後しばらくHIV/AIDS担当の国際職員は、上司と私(ただし50%)の1.5人だけ。キチッとした上司からのプレッシャーとともに、仕事が増えてきている切迫感は高まってきました。
 それに従って、少しずつ、仕事に真面目に取りかかるようになりました。UNFPAは国際機関としては小さいとはいえ、私が東京で働いていたエイズの団体に比べればはるかに大きく、当然のことながら、予算規模は大きいわけです。ところが、私の所属は、技術専門家集団であるためか、プログラムや組織のマネジメントが、お世辞にもうまくいっているとはいえませんでした。世界中の税金や寄付を使って運営されている組織がこんなものでいいのだろうか?と真剣に考えました(どの国連組織も程度の差はあれ似たようなもの、とはなんとなく思っていましたが、見ると聞くのでは大違いです。)。
 私自身は、プロジェクト管理、財務管理、組織管理(新たなポスト設置)、人事管理(その採用手続き)など、多方面に渡るかなり煩雑な手続きを行わなければなりませんでした。他の技術担当官がそういったことをほとんど知らない上、肝心のファイナンスアシスタントなどのサポートスタッフ(高いポストに就いている人も含む)に、掘り下げて質問すると、細かい規則などほとんど理解していない、ということがわかりました。財務管理をはじめとするガイドラインを参考にしながら、日々の大量の「雑用」(ほとんど本務となってしまっていた)をこなしていく毎日が続きました。
 HIV/AIDSにこだわって選んだ仕事だったものの、この頃から、マネジメントも結構向いているかも、と思うようになりました。効果的な国際協力をするのには、しっかりとしたマネジメントが基礎になっていることは、少し考えれば誰でもわかることですし、大変重要なことでもあります。
 赴任後1年、UNFPAでの仕事にも慣れ、雑用は多いとはいえ、仕事もそれなりに充実してきました。インド人上司からは、専門知識、情熱に裏打ちされた合理的な指導に加え、時には厳しい叱責もありましたが、今にして思えば、よくまあ我慢してぐうたらな私に付き合ってくれたと感心します。感謝感激雨あられ。

第5回 ポストは誰のもの編
 UNFPAのHIV/AIDS担当の国際職員は、2000年には、インド人上司と私の2人、現地採用のサポートスタッフはほぼ0人(サポートスタッフの支援がなかった)という陣容でした。当初は、HIV/AIDSという独立したブランチはなく、リプロダクティブヘルスブランチ内の小さなチームからはじまって、クラスター、ブランチと拡大していきました。上司は、UNFPA通常予算(通称コアファンド又はコア)により設置されたP-5ポスト(課長相当)に就いていて(後にD-1(部次長相当)に昇進)、私は、JPO制度を利用した通常予算外予算(通称ノンコアファンド又はノンコア)によるL-2でした。それが、2004年後半には、国際職員9人、サポートスタッフ4人の大所帯になりましたので、改めてみると、5倍以上の規模です。
 少し解説すると、通常予算によるポストは原則としてPポスト(正規職員ポスト)、通常予算外予算によるポストは、Lポスト(プロジェクトポスト)又はALDポスト(期間限定任用ポスト)が中心になっています。Pのポストは、UNFPAの場合原則として通常予算により設置されるものなので、執行理事会に予算書を提出し、それを承認してもらう、という手続きが必要です。通常予算は、2年に一度策定されますが、急激な変更が行われるのは稀です。Pのポストに就いている職員の身分保障はそれなりに強く、必要がなくなったからといって専門性のないところに異動したり、又はクビにしたりするわけにいかないことがその主な理由です。したがって、エイズに対する仕事が増えたからと行って、通常予算ポストをすぐに増やせるということはありません。ですので、HIV/AIDSブランチで急増したポストのほとんどは通常予算外の資金によるものです。
 2000年前後から、国連エイズ特別総会など国連を挙げての行事などもあり、ドナー国(拠出国)のエイズに対する関心は高まり、それが各国からの拠出に結びつくとともに、UNAIDSから各機関への分配資金の増額などがあり、UNFPAにおいても、エイズ対策に使えるお金が増えてきました。エイズのプロジェクトに関して、人間の安全保障基金などに応募してさらに追加資金を調達することも考えましたが、趣旨に合致するプロジェクトドキュメントを書く自信がなかったこともあり、とりあえず、UNFPAがUNAIDSから受けとった資金をきちんと使うことに集中することにし、とにかく人員が必要なので、部内のポスト設置に取組みました。私のJPO期間中、UNFPAのエイズ担当部署では国際職員5ポスト、現地職員3ポストが新たに設置されました。これをインド人上司と二人で次々と作っていったのは非常にいい勉強でした。前回も書いたとおり、上司は技術専門家なので、職務内容を考えるのはお手のものなのですが、国連の採用のシステムに関しては、ほぼ素人で、あてになるサポートスタッフもおらず、二人で人事部に相談したり、職員規則やマニュアルなどを読んだりして、手探りの状態からはじめたポスト作りがつづきました。
 ポストを作るのには、いったいどのような手続きが必要かというと、資金の目途が立つことが前提ですが、まず職務内容書(TOR)を作成します。UNFPAは、Lポストを作り過ぎているということから、国連のACABQ(行財政問題諮問委員会)に目を付けられていたので、LポストをつくるにもUNFPAの事務局次長(管理担当)の承認をとる必要がありました(最近はALDにもこのプロセスが必要になってきています。)。同時にLポストの場合は、その職務内容がどのレベルに分類するかについて人事部を通して判定してもらわなければなりません。国連にはその判定をする人(Job Classifier、コンサルタントとして登録している場合が多い)がいて、その判定をクリアする必要があります。この判定になかなか承認がもらえず時間が掛かったポストがいくつかありました(判定は、職務内容書を基礎に、部下の人数、職務の影響度、困難度などをポイント化して決定することになっています。)。
 その後、人事部により空席公募が出されます(出さないときもある)。Lポストの場合、だいたいは2週間ほどで締め切りが設定されています。人事部が履歴書や国連用の履歴書(P-11フォームといわれています)を受付け、それがそのまま担当部署に回ってきます。ここで、スクリーニング(書面審査)の作業が始まります。実はUNFPAで仕事をはじめてまもなく、各地のCSTのHIV/AIDSアドバイザーのポスト(L-5レベル:課長相当)の応募者のスクリーニングをする機会がありました。スクリーニングに際して特に決まったフォーマットなどはないのですが(国連事務局にはあると聞いています)、職務内容書に書いてある学歴・資格などの必要条件を満たしているか、また、応募までの職務内容がどれぐらいポストの職務内容に関連するかなどをみながら判断して、時にはポイント制でスクリーニングを行います。上司のスクリーニングを手伝っているうちにだんだんとコツがわかってきました。場合によってはポストを内々で約束されている人がいることもあり、そのことを知らされずに、スクリーニングをし、あとあとトラブルになったこともあったようです。
 履歴書には、大学の教員のポストに応募するかのように、長々とリサーチの経験を書いているものもあれば、長いタイトルをダブルスペースですべて並べて作成しているため履歴書が15枚ぐらいになってしまっているもの、手書きのP-11の字が汚くMD(メディカルドクターの略)と書いてある以外は判読不能なもの、明らかにまったく関係ない仕事しか書いていないものなど、地域柄や人柄(といっても会ったことはない方々なのですが)がよく表れていました。
 さて、今度は、各地のCSTではなく、自分たちの部署のスタッフ募集の際も同様のスクリーニングが待っていました。国連の場合、職員規程4.4にも書いてあるとおり、空席への任命に当たっては、既に国連の職員となっている者に対し、できる限りの配慮(fullest regards)を行うことになっています。つまり、UNFPAの他の部局からの応募を優先することが求められています。当然職員はそのことを知っているし、ちょっとでもよさそうなポストに対しては、着任早々であっても応募するありさまで、私がスクリーニングする履歴書も部内の職員のものばかり、という場合もあります(2週間の公募期間は短いのでしょう。みなさん見落としなく応募しましょう。)。
 国際職員のポストは、上位のランクの職員が面接を行うことになっており、面接はもちろん私の上司が担当しましたが、サポートスタッフである現地職員のポストに関しては、募集部署で一緒に仕事をする国際職員がかかわったほうがいい、ということで3つのポストの選考に面接官として参加しました。その際には、人事部の高いレベルに就いている現地職員や他の部署の現地職員と協力しながら選考を行いました。また他の部署のALDの国際職員の選考過程に何度かかかわることもあり、面接での質問の内容や、面接官としての面接の進め方、また面接を受けるときの姿勢、実際の返答内容など、限られた業務内容及びレベルに関してではありましたが、内側からそのプロセスに参加することができたのは、非常にいい経験になりました。
 ところで、JPOから正規職員等に採用されるためには、自分で自分のためのポストを作ることが最も確実な方法です(こういう機会に恵まれるのは、運としか言いようがありません。)。ですので、上司と私とで準備した新しいポストの専門家の空席公募が出るたびに、UNFPAの先輩たちからは、「このポストはあききのでしょ?」と聞かれました。これに対しては、とりあえず「まあそのうちにね」と答えていました。もともと国際協力で経験を積んで、いつか日本でのエイズ関連の仕事に戻りたいと思っていたので、自分の中では、「JPOが終わったら、日本に帰ろう」という気持ちが強く、自分で自分のためのポストを作るつもりはありませんでした。

第6回 居残り勉強編
 JPOの任期2年は短いと思います。しかも、本当に仕事をした、と実感できたのはそのうちの1年くらいでした。幸い外務省は、JPO希望者(全員)に3年目への任期延長をしてくれるというので、国連代表部を通じて延長をお願いしました(現在は、任期延長がないとのこと。3年目があるとないとでは、JPO後の残留率に格段の差があると思われるのですが。)。正式の延長許可が下りたとき、国連代表部の担当者から、「居残り勉強を命ず」と言われました(失礼な!)。
 私のJPO在任中には、エイズ特別総会があったり、アジアエイズ会議への出張、その間には2001年の9月11日のテロ事件もありましたが、3年目もそれなりに忙しく働きながら、ニューヨーク生活を楽しみました。もともと国連にあまり未練はなかったので、3年目の秋を迎える頃、そろそろ日本に帰る準備をしないといけないなあ、と考え始めました。とりあえず休学している博士課程に戻って研究をして、論文を書かないと。就職活動もしよう。NGOかな。経験もそれなりに積んだから、JICAの専門家の口もあるかもしれない。赴任地はNYだったので食べ歩きに精を出したため貯金は全くしなかったけど、気合を入れて貯めた未消化有給休暇のキャッシュバック(60日分)と離任手当で、しばらく食いつなげるだろう。ニューヨークは他の赴任地に比べて、ご飯がおいしいとはいえ、ああ、日本の御飯が懐かしい。
 そんな感じだったので、国連に正規職員として残りたいという意思表示はしていませんでした。したがって、ポストをどんどん作っていきましたが、自分のためのポストをつくろうとは思っていませんでした。しかし、後から考えると、周囲には、「JPOは国際機関に残りたいと考えている、あききはJPOだ、故にあききは国際機関に残りたいと考えている」という三段論法(?)が成立していたようでした。また、仲良くしていた欧米人の幹部が、「あききはUNFPAに残るべきだ。そのためなら協力する。」とことあるごと言ってくれていました。残るつもりはありませんでしたが、これはこれで有り難く受け止めていました。前回書いたポスト作りで、作ったポストに採用された同僚は有能でとっても個性豊かではありますが、いい人たちで、「来年はあききのポストをつくろうよ。」と声をかけてくれたりしましたが、「まあまあ、私は、日本に。」「あれ、日本で仕事あるの?」「イヤーないよ、でもとりあえず帰ってみようかな」などというやり取りが何度かありました。
 そんなある日、日本とUNFPAの協議の場で、日本の外務省の幹部がUNFPA事務局長に対し、「日本人を増やして欲しい」と働きかけ、事務局長は、「JPOを採用してもいいと考えている」という趣旨の発言をしたらしいことが伝わってきました。しばらくして、ある幹部から、私が採用する候補に挙がっているという話しが降ってきました。UNFPAは、過去3年以上JPOからの採用がないという国際公務員になりたいJPOにとってはひどい状態で、外務省としてもUNFPAにJPOを送ることには積極的でなく、当時UNFPAのJPOで任期切れを迎えつつあったJPOは私の他にほとんどいませんでした。UNFPAに見切りをつけてJPOの任期途中で機関を変える人もいました。
 日本で、おいしい御飯を食べることで頭が一杯だった私は、国連代表部の担当官に、「あ、あのわたしは、帰国するつもりなんですが。」と相談しました。そうしたら、またもや「居残り勉強を命ず」とのことでした。何年居残り勉強をさせるつもりなのだろうか?いろいろ相談し、いろいろ考えました。
 ブランチのスタッフも増えてきたし、同時にHIV/AIDSに対するUNFPA全体の取り組みも少しずつではあるけど、進んできていました。プロジェクトがだんだんと本格化していくなかで、そのための人を増やしただけでJPOを終え帰るのはもったいない気もしてきました。いくつかあるプロジェクトが軌道に乗れば、もっと積極的にプロジェクトに参加できるだろうし、これからは、フィールドへの出張も少しは多くなるだろうし。管理事務系の仕事が思ったより得意し楽しいと気づいたのもこのころで、もう少し国連に長くいて、今度は違うキャリア・トラックで仕事をしてみるのもいいかな。と、思い始めました。国連とNGOとの協調、community involvementなど、自分の興味があるし、かつこれまで取り組んできた分野の仕事も、もっとやってみたい気がする。だんだんと、まあ残ってもどうにかなるかな、と、気持ちが固まってきました。そうそう、ニューヨークにもたくさん新しいレストランが増えてきて、まだまだ食べつくしたとはいいがたいし。。
 結局、残るという意思表示をすることにしました。
 しかし、残ろうと決めてからトラブル続きでした。
 UNFPAのマネジメントは、日本政府に対し、JPOの採用について、ある程度のコミットをした形になっているけれど、確約ではないとか、ALDでも日本政府との約束は果たしたことになるとかいろいろ言ってきました。私が採用されるとすると、Pポストをもらえるかな、と思ったのですが、Lも怪しいという雲行きでした。要するに採用されるにせよ、上司の協力を仰ぎながら、自分でポストを作るなどして頑張りなさい、ということのようでした。
 ブランチ内にポストを作るだけ作ったので、もう自分のブランチ内に、ドナーからの拠出金でLポストをつくる余裕はありません。上司は、ALDのポストなら作れるわよ、という話を以前からしてくれていたので、これをどうにかしっかりしたポストにする方向で検討し、いろいろ働きかけるなどした結果、結局、少々珍しく数の少ない「通常予算によるL-3ポスト」を設置することになりました。
 さて、選考される立場に立ちました。
 新しいポストは、私のJPOポストの職務内容をそのまま引き継ぐもので、そのような場合、面接を行わないことが通例です。そもそも国連の職員規程及び規則では、Lポストの採用手続きは定められておらず、面接などの手続きを行うことが求められていません。したがって、Lポストで面接するということは、「落とす可能性が十分にある」という意思表示と考えるのが自然でした。通常予算ポストですからJPO経験者等既にALDポストに付いている人や、短期雇用のコンサルタントで働いている人を含めて狙う人が多かったのでしょう。
 落ちたらどうしよう。並行して日本での就職活動をすべきだったか?NGOの仕事の可能性も探っておくべきだった。・・・などと、いろいろと考えていました。(最近は採用手続きに関して透明性を高くするために、ALDもLもほとんどのポストで面接が行われています。)
 仲良しの欧米人の幹部は、ALDのポストをいつでも用意してくれる、ということを約束してくれていましたが、ALDだったら身分は不安定だし日本に帰ろうと考えていました。ALDで仕事を続けて正規職員になる人も多いのですが、そこまでやろうと思うほど国連に魅力を感じていたわけではありませんでした。なお、欧米人の幹部の話しについては、国連によくある「口約束かな」とちょっと思ったけれど、とてもまじめな人で、本当にALDのポストをつくって、別の日本人を採用しました。
 冷や冷やしましたが、結局、書面審査、面接ともにうまく運びました。面接官はよく知っているシニアスタッフだったこともあって、非常にリラックスして受けることができました。面接の方法が変わって、コンピテンシー・ベースになっているはずで、そのための準備をしたのですが、結局旧来のオーソドックスな面接方法でした。
 手続きは、私のJPOの任期が切れるギリギリにやっと終了し、滑り込みでプロジェクト職員になることができました。
 こうして私の居残り勉強が続くことになりました。

明日はどっちだ編
 「フィールド」「草の根」というのにこだわっていたはずが、ニューヨークのUNFPAの同じ部署で4年半働いています。その間に、UNFPA内で私は、ある種独特の地位を固めてしまいました。
 私としては、NYを楽しむにはどうしたらいいか、どこの御飯がおいしいかといった情報源として(ゴシップ集めではありません。)、現地職員であるサポートスタッフとのお付き合いが重要でしたが、仕事を進めていくためにはサポートスタッフの協力は欠かせません。後から考えると、公私に渡る彼ら彼女らとのお付き合いは、仕事をする上で大変意味のあることだったようです。また、今やサポートスタッフとは、いろいろな悩みを共有する仲間になっています。
 あるとき、サポートスタッフの何人かから、「一定期間を過ぎたら現地採用の正規職員にしてくれるはずだったのに、ずっと特別役務契約(SSA: Special Service Agreement)のままだ」という相談を受けました。これについては、私としてどうしようもないのですが、なぜそういう取扱いとなっているのか、背景などを説明してあげたりしていました。
 また、あるときスペイン語圏出身のサポートスタッフが、「タイピングテストに落ちた」と泣きながら私の部屋に駆け込んできました。英語のスペルを正しく打つことができなかったようです。NY採用の正規の「秘書」というタイトルのサポートスタッフになるためには、事務局の秘書試験(Clerical Exam)のほかにタイピングのテストに合格する必要がありますが、彼女は若くて、コンピュータもよく使いこなせるし、特にタイピングが遅いわけでもなんでもないのですが、テストでスペルの間違いが多く、今まで合格できずにいます(今は修正機能があるから、このテストの見直しをするべきです。それよりも、うちのオフィスでは文書作成ソフトを使いこなせる彼女みたいな人が必要なのに。)。というわけで、彼女のポストは、Clerical Examを必要としない、Administrative Clarkというポストに変更しました。
 郵便係のサポートスタッフは、ルールを守らない高圧的な態度の専門職(時にJPOを含む若手職員だったりする)への不満をぶちまけに来ます。
 UNFPAには、ITが得意な人が限られており、部内のIT関係のトラブルシュートは、サポートスタッフに代わりなぜか私が担当しています。もう少し、スタッフのコンピュータの使い方を改善し、UNFPA全体のコンピュータ・リテラシーを高くしていくべきだと考えたりします。
また、予算要求や執行管理についても、財務管理部のやさしい指導により、規則及び規程(rules and regulation)にかなり詳しくなってきており、サポートスタッフのサポートをしています。(これに関しては最近非常に優秀なサポートスタッフがきてくれたのでほとんど私のやることはなくなりました。)
 こういうこともありました。UNFPAには、正規職員(P)とそれ以外の短期契約者等(P以外)の間でたとえランクが同じでも椅子に区別があるのですが、備品管理の担当者が、短期契約者で正規職員用の椅子に座っていた人から、一方的に椅子を奪い、短期契約者用の椅子、しかもボロボロに使い込んでしまったものを押しつけるということが起き、その短期契約者の女性が泣いて抗議するという(情けない)事件がありました。似たような事件が二つあったと聞いた私は、所属する部と事務局長のミーティングの場で事務局長から「他に何かないかしら。」と聞かれたときに、よせばいいのに、事務局長に事態を改善するよう直訴し、事務局長は対応を約束してくれました(以後、椅子のモニタリング担当官とからかわれています―実際は時を同じくしてUNFPA内の親友がまったく同じ件に関して事務局長に直訴したことが判明。)。しかしまだ椅子は届かず。たまにまだ椅子が届いていない仲間たちに「あきき、椅子は来たの?いったいいつくるの?」と、聞かれる始末です。しかも、一部の人は、私が自分の椅子を良いものにしたいがためにやったと誤解しているし。。。
 という調子で、私の部屋は、サポートスタッフの駆け込み寺のような状態になり、いつしか、「スーパー・サポート・スタッフ」としての地位が確立してしまいました。ただし、インド人の上司からは、そんなことばかりしていないで、専門家としての仕事をしっかりやりなさい!とよく注意されていましたが。
 いろいろマネジメントで問題が起こるたび、私だったら、もっとみんなの意見を上手に聞きながら、マネージできるのになあ、なんて考え、マネジメント・トラックに移りたいと思うようになってきました。
 建物管理でもいい。元々建築家になるのが夢だった建物マニアなので、私がやったら、みんなに働きやすい環境を提供できるような気がする。
コンピュータに関しても、任されているうちに、いろいろなことがわかってきたし、IT担当官が新しいテクノロジーを導入するたびに、私がわかりそうなことであれば、ブリーフィングをしてくれるし(彼は、私のいる技術担当部に支部のようなものを作りたかった模様)、上司からは、IT担当だと言われて、部のIT化には相当貢献している。勉強すれば、ICTのマネジメントの分野でもなんとかなるかもしれない。
調達も面白そう。リプロダクティブヘルス(RH)関連製品などの供給を安定的にしていく工夫を行うのは難しいと重いますが興味深いものがあります。
2004年7月にバンコクで開かれた第15回のエイズ会議では、ロジ担当官となり、ホテル、書籍、登録などを中心的に取りまとめ、やっぱりロジはかなり得意だということを認識して、ロジ系のマネジメントにも興味があります。
 それよりなにより、ポスト作りで垣間見た人事管理が大変だけど面白そう。
 しかし、経歴からすると、マネジメントに移るのは相当難しい。
 国際保健の博士課程に一応在学中だけれど、土曜日のMBAコースにでも通おうかと考えました。
 キャリアチェンジは相当の決意と体力が必要なのですが、なかなかいい方法がありません。仕方がないので、キャリアチェンジは、次の次のステップくらいまで我慢することにし、とにかく、差し当たって次のステップを真剣に考えることにしているところです。
 国際機関の世界でスムーズに仕事を変えるためには、ネットワークと能力が必要です。
 ネットワークについては、国連エイズ総会を初めとして、さまざまな会議やワークショップに参加し、国際機関でのHIV/AIDSの世界に知り合いが増えました。94年の横浜会議からの知っている世界中に散らばっているエイズ関連団体の仲間たちとも、いろいろなところで再会し、仕事の情報を交換します。草の根の仕事を続けている人もいれば、国際機関で働いている人もいるし、母国の政府アドバイザーになった人もいます。なかには、国連代表部に赴任してきたり、外務省で勤務することになった人もいます。国際機関のHIV/AIDS関係のインナーサークルにどっぷり浸かっているような感じです。私のキャリアについて、心配してくれる人、支援してくれる人、相談できる人は、HIV/AIDSの世界には幸い数多くいます(と、同時に、もう10年もずっとHIV/AIDSの仕事をしていることに気がつき、ああ、もっと勉強しておくんだった、と反省してしまいました。)。
 となると、私に何より必要なのは、「能力」ということになります。
 大学留学中もどちらかといえば、理系でしのぎ、大学院でもあまり鍛える機会がなかった英語の文章力を鍛えたい。ついでに日本語の文章力も鍛えたい(というわけで、皆さんには駄文を読んでいただいていますが)。新しい上司からもアドバイスのあったとおりパブリックスピーチ能力も鍛えたい。
 採用の審査で訴求力のあるのは、英語以外の言語かな、ということで、行き着いたのがスペイン語の集中コースでした。現在、国連事務局のコースに毎朝通っています。途中でやめた中国語は読める程度(といっても多くの日本人が読めますが)。チャイナタウンで広東語(?)や北京語(?)で道を聞かれることが多いのですが、「不會説中國語」と答えてもしつこく食い下がられ、「我是日本人」と言いながら逃げるぐらいの程度です。ブラジル派遣時にちょっと勉強したポルトガル語は日常会話程度。それぞれ仕事に使えるようにしたいものです。
 そんななか、1年ほど前にUNAIDSに移ったインド人の元上司が私の部屋にやってきて、「来年7月の神戸会議が終わったら(Pポストで)フィールドに出ることができるよう、準備をしなさい!「モニタリングと評価」、得意の情報整理及びコンピュータを利用して「Strategic Information」に関して、独学でいいからしっかり勉強しなさい!」とのこと。相変わらず指示が具体的だなあ、などと考えながら、よっこらせ、いろいろ文献を読んで研究しようという気持ちになりました。確かにUNICEFのような大きな事務所でHIV/AIDSを専門に担当するなら話しは別ですが、HIV/AIDSだけで、小さなUNFPAの事務所に赴任するのは難しいところです。ただ、元上司のいうとおりに事が運ぶ可能性はというと、そんなに高くないような気がします。
 手っ取り早いのは、どこかに出向してそこで広めの経験を積むことなのですが、なかなかそれも難しい。私はLポストに採用されたのですが、Lという身分は中途半端です。原則としてどこかに出向した場合、身分が切れてしまいますので、戻ってくることもままなりません。ですので、Lの身分だと、他の機関などでチャレンジをするインセンティブが低くなってしまっています。
・・・仕方がない、他の機関のPポストに応募しよう。
 UNICEFに応募しようかな、などと考えたりするけれど、あの機関は、フィールド重視なので、フィールドを経験してからでないと難しそう。でもとりあえず応募はしておこう。
 UNDPの採用ミッションに応募したけれど、2年連続して書面審査で不合格。悲しい。面接くらい受けさせてくれても・・・・。
 いつかは一度PKOミッションで働いてみたい。その場合はやっぱマネジメントがいいな。どこかでPポストがとれたら、真っ先にPKOミッションへの出向を希望しよう。
「100ポスト応募キャンペーン」でも張ってみようかな、100のポストに応募してそれでもどこからも音沙汰がなかったら、しばらくはNYにとどまるしかないのかな。
 日本に帰ろうか。JPOの任期が切れる2年前はまだよかったかもしれないけれど、今となっては、国内のNGO関係者からは忘れ去られているかもしれない。いずれにしても、日本に戻ると一からやり直しという感じがする。
 JICAの専門家の口があればいいと思うけれど、そううまくはいかいだろうなあ。
 日本に戻るのであれば、博士課程に戻り研究に邁進しないといけない。長く国連職員として仕事をされて、大学の先生になった方々にもお会いする機会があるけれど、このぐうたらな私が研究職・教職として勤められるとは考えにくい。いろいろ考えると、日本に帰る決心もつかない。・・・
心は千々に乱れます。明日は、どっちだ。


連載を終えて:
第7回までお付き合いくださった方ありがとうございます。なんだか最後はちょっとはちゃめちゃになってしまいました。国際機関で仕事をしている人が、こんな支離滅裂でどうするの、と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが。一応チラッと出も考えたオプションのことを含めて皆さんにお伝えできたらと思い、だらだらと書いてしまいました。「おいおい」と思われた方もいらっしゃるかもしれません、ご指摘、ご指導を歓迎いたします。他にも面白いエピソードなど、仕事のことなど、たくさん書き足りないこともあります。それは、また別の機会にご紹介できたら、と思っています。